バレンタインデー

予報より早く雨が落ちはじめ、昨日今日と本降りの雨である。未明に目が覚めると大風が吹いていた。冬も終わりだな。
▼事故の事後処理で落ち着かない日々が続く。先週だけで再発防止協議会が二回。それぞれ約一時間ずつ、移動時間も含めると半日もの間、事故を起こしたわけでもない何人もの人たちが拘束される。さまざまな書類作成時間も含めると膨大なロスだ。寝耳に水のお客さまに、そのような時間と手間をとらせたことが心苦しい。
▼こんな時は頭を冷やすに限る。というわけで今日は正月以来の休みである。ドリップのコーヒーを入れてゆっくり日曜版に目を通す。金曜の会合の飲み屋でもらったチョコと、上の子が彼女にもらったチョコをつまむ。二種類三個ずつ入っているのは僕と下の子のことを考えてのことだろう。よくは知らないが気の利いた子だ。下の子は飲み屋のチョコを「くそマズイ」と言って食べようとしない。子供は正直だ。
▼何をするでもないが、こういう時間の過ごし方が大事だ。テレビで日曜午前の報道バラエティを見ながらたまった洗濯物を片づける。育休議員不倫辞職、清原覚醒剤続報、北朝鮮ミサイル発射が三大トピックか。甘利汚職大臣辞任に次ぐイクメン議員の早々の辞職会見。安倍内閣、僕と違って危機管理だけは長けているようだ。
▼起こったことは仕方ない。いかに早く対処するか。この間社長や幹部社員に繰り返し言われ続けてきたことである。その時は恐縮してきいていたけれど、事故処理に慣れてもしょうがないと思う。汚職も不倫も資質の問題である。末代までの恥であり、一度の会見で恥をかいて済む話ではない。
▼遅く起きた長男が遊びに出ていき、次男と近所のラーメン屋で昼食をとる。午前中であがるはずの雨がなかなかあがらない。車載テレビで清原の元交際相手という作家がコメントしている。こんな作家知らない。売名ではないか。一方で元奥さんのモデルの仕事に影響が出ているというが、本人は「この名前で仕事ができるようになったのだから仕方ない」と言っているらしい。「清原」のネームバリューはそれほどのものなのだ。
▼これだけの男がこんな風になったのは、前にも書いたように本人が野球バカだったからだ。そして彼を野球バカに育てた一番の責任は親にある。人の親のハシクレとして、子供の教育で一番大事なことは、「野球がうまけりゃいいってもんじゃない」というこを教えることだと僕は思う。もちろん「勉強ができればいいってもんじゃない」のも同じことだというのはわかるよね。
▼何か特別な能力があれば人として当然の義務やモラルを免除されるという考えを特権意識という。親は自分の子供が可愛いばかりについ甘やかしてしまいがちだ。野球や勉強自体をどんなに厳しく指導しても、その子が特権意識を持つようになったら、それは甘やかしたのと同じことだ。僕はたいした実績もないのに特権意識の塊のような人間なので、うちの子たちがまともに育ったのはひとえに妻のおかげである。
▼「自分は特別だから何をやっても許される」清原を特権意識のモンスターに育てた責任は、まずは親、次に指導者など周囲の大人たちにある。しかし見渡せば世の中の指導的立場にあるはずの大人たちの行状にも目に余るものがある。TPP交渉でどんなに貢献しようと汚職が許されるはずもない。まして育休議員は何の権利があって不倫が許されると思ったのだろう。
北朝鮮がミサイル発射に対する制裁発動に反発して日本人行方不明者の調査の中止を通告してきた。十年一日の感がある。大騒ぎしているが、三大ニュース?の中では一番見る気がしない。目新しいものが何もないからだ。そもそも北朝鮮は脅威なのか。こんな体制が3代にわたって継続しているのも不思議だ。何かもっと重大な問題から国民の視線をそらせるために裏でにぎっているとしか考えられない。
▼今の日本で大事なことってなんだろう。たぶんフクシマや超高齢化社会の方がずっと深刻な問題に違いない。先ごろ厚労省社会福祉費抑制のために在宅医療推進の施策を発表した。在宅というと聞こえはいいが、大家族どころか核家族ですら崩壊しているところに持ってくる話じゃないでしょう。個々の負担をどう社会全体で分担するかが問われているときに大前提が覆されたらお話にならない。
▼帰省中の妻から電話がある。お義母さんの調子はよさそうだ。ただ寂しいからできるだけ帰ってきてほしいと言うらしい。その前の電話では辟易していた妻が、今度は「後悔したくないからそうしようと思って」と言う。育休はとれなかった僕だが、できるだけ妻の思い通りにさせてあげたいと思うだけだ。