甲子園の密かな愉しみ

今年も熱い戦いが繰り広げられている甲子園だが、いよいよベスト16が出揃った。個人的にはこのあたりのカードが一番おもしろい。一、二回戦あたりでは、組み合わせによっては、実力的に地域間格差のある代表同士の対戦もあり、結果的に大味な試合になるケースもあるからだ。ベスト16ともなるとフロックでは勝ち残れない。
▼相変わらず舌足らずなのか舌が長すぎるのかよくわからない、甲子園専門ナレーター長嶋美奈も健在だ。僕には彼女の「熱闘!甲子園」がどうしても「なっとう!甲子園」に聞こえてしまう。滑舌の悪いナレーターって目の悪いパイロットみたいなもんだと思うけど、それを可能にしてしまうミスターの力もすごい。
▼さて「365日働けますか?」の僕の場合、甲子園は専らカーラジオ観戦である。そして僕が聴いているのは、高速で回転する舌を持つNHKアナウンサーの実況ではない。それじゃ長嶋美奈が不憫だ。僕が聴いているのはそんな実況と解説の向こうに流れるブラスバンドの演奏である。
高校野球の応援の構成には大きく分けて二つの流れがある。ひとつは六大学野球、特に早慶の応援に範を求めるもの。比較的伝統校や公立校に多い。もうひとつは、テレビやアニメの主題歌やヒット曲を生演奏用にアレンジしたもの。曲は無数にあり、応援の幅が広がる。もちろん最近はこちらの学校の方が多い。
▼だがいくら原理的には無限に選択肢があるとはいえ、実際に使用できる曲の数は知れている。味方の攻撃中に流せる曲の数なんてせいぜい3〜5曲がいいとこだ。①単なる攻撃中。②ランナーが出てチャンス。③得点、なおチャンス継続の3パタンくらい。あと応用編でせいぜい②の場面でスコアリングポジションに進んだ得点機。あとバッターによっては個人のテーマソングもあるだろうが、よほどの強打者に限られるので、やっぱり3〜5曲。
▼もちろん応援に相応しいノリがよくてアップテンポの曲でなくてはならない。そうすると、伝統的なものでなくても、どこの応援も似通ったものになってくる。最近よく聴くのは大塚愛の「さくらんぼ」。タイトルは忘れたが光ゲンジの曲もよくかかる。あと古いとこで山本リンダの「ねらいうち」。ロッキーのテーマや宇宙戦艦ヤマト暴れん坊将軍なども定番だ。
▼一方伝統的な応援ソングの方では、なんと言っても早稲田のコンバットマーチ。♪パパラパッパパッ(トランペット)ドン(大太鼓)繰り返し、パパラパッパパッパラッパわっせーだーの前奏の後、リーダー(学ランの応援部員)がステージに飛び乗って腕を回して拳を前に突き出す。パーパーパパパわっせーだっ(繰り返し)パーラッパラパパラッ、ドン、ラッパラパパラッ、ドン、パーパラーパラーパラッパラッパけぇいおぉたーおーせーラッパパッ(の繰り返し)おわかりいただけたでしょうか?
▼わからなくても先に進ませていただきます。このコンバットマーチにあたる慶應の応援ソングが「ダッシュ慶應」?だったかな。これも誰でも聴けばわかる曲だ。♪ワセダをたおーせワセダをたおーせワセダをたおーせー、かっとばすぞ、Oh!(繰り返し)ケイオウケイオウケ、イ、Oh!どうですか?聴いたことあるでしょう。
▼この二つはランナーが出塁した時に流れる曲だが、あと早稲田の「チャンス」♪パパーパパーパーパッわっせーだ(繰り返し)パパーパパパー、パパーパパパー、パーパーパーパーパー、がーんばれ、がーんばれ、がんばれわーせーだーというのもあるけどなんのこっちゃわからんね。この「早稲田」と「慶應」のところに自分の学校と相手の学校の名前を入れればいいのだ。ちなみに「アルプス一万尺」もよく流れるが、あれも六大学系で、確か法政のチャンステーマだったと思う。
▼いやぁ今回は完全に読者の理解を無視して突っ走ってしまったけど楽しかったなあ。その昔派遣先でいっしょになったプログラマーとの帰り道、駅の構内でどこからか地元チームの試合中継が流れてきた。地元有利の展開に僕が「おっ、いいねぇ」と声をかけてもそいつは「なんのことです?」って感じできょとんとしている。「あのさあ、高校野球に興味ないのはわかるけど、よその県の代表より自分の県の代表贔屓しようって気にはなるだろ?」ってきくと、そいつは「全然」と答えた。いろんな奴がいるもんだ。まあ僕だって若い時は応援の醍醐味ってわからなかったもんな。
▼土曜のメインはチキン南蛮。日曜はソーメンに出来合いのお惣菜。そして今日月曜のメインはカレー。



部活の休日が昨日と今日二日限りの長男は全ての宿題をかかえて友人宅に。次男も友人宅にお泊り。妻も友人とカラオケに。ひとり残された格好だが不思議とさみしくない。ブログやっててよかった!