税と社会保障の一体改革

昨日は太陽面の金星通過、その前は部分月食、その前は金環日食と、ここんとこ天体ショーが続いた。天邪鬼の僕は周囲が騒ぐととたんにやる気がなくなってどれも観察しなかったが、さすがに金環日食だけは朝いったん明るくなってから暗くなったので気がついた。あれだけの時間あれだけ暗くなれば昔の人は恐ろしかっただろう。神様がお隠れになったと思うのも無理はない。
▼さて、会期末が迫り慌しい消費税国会だが、これで大山鳴動して鼠一匹ということになったら神様も怒るってもんだ。まあドジョウもナマズの親戚みたいなもんだから天変地異には敏感だろう。まずは党内に仁義を切り、最終的には野党案を丸のみして法案を通すにちがいない。
▼とはいえ僕は消費税アゲアゲ論者ではない。お金を節約するのは難しく使うのは容易い。そして入ってきたお金を全額返済に回す人は稀だ。つまり消費税を上げても財政再建にはつながらないだろう。僕が消費税アップに賛成な理由はただ一点、直間比率是正の観点からだ。
▼よく消費税反対の論拠として逆進性が言われるが、実は定率の金利は高額な商品ほど影響がある。例えば消費税が仮に5%から10%にあがっても105円の大根は110円にしかならないが、二千百万のマンションは二千二百万になる。消費税があがっても共産党社会党が心配するような年金暮らしのお年寄にたいした影響はないが、住宅や車の販売は鈍るだろう。つまり彼らは弱者の味方をしているつもりで実はハウスメーカーや高額所得者に手を貸しているのだ。頭悪いね。
▼高いなと思ったら買わなきゃいいが、稼いだつもりがそうでもなかったというのは精神衛生上よくない。僕のキャリアの中で唯一昇給らしいものがあったこの十年の重税感はハンパじゃない。ここでいう税金には厚生年金や健康保険などの社会保険も含むが、感覚的には三割近く目減りしてる感じがする。昇給が追いつかない感さえある。
▼額面と手取がこれだけ違ってくると、もう額面にたいした意味はない。現実的に家計は手取ベースで考えないと成り立たないだろう。消費税も20%くらいになれば元の値段との差が無視できないものになるかもしれないが、現時点で給与所得と可処分所得ほどのギャップはない。僕の想定する直間比率の是正とは、直接税の場合と間接税の場合の課税前後の違和感を同じくらいにすることだ。
▼それにしても野田さんはなぜ消費税を上げたいのかな。内外に財政再建の意欲を示すことで世界経済に責任を負う姿勢を示したいのか。それも大事なことかもしれないが、ポーズだけじゃしょうがないだろう。繰り返しになるが、僕の場合は直間比率の是正が目的。消費税を上げて消費が落ち込み企業業績が悪化するのが心配なら法人税を下げればいい。
▼僕は政治の本来の仕事は公正な社会の実現を目指すことだと思う。そこから考えて行けば税制も社会保障もおのずと決まってくる。結果の平等ではなく機会の平等を重要視するなら、生来のハンデをなくすために蓄財は一代限りしかできなくなるくらい相続税を上げるべきだ。
▼同様に、片山さつき先生その他が提唱する「生活保護の前にまずは親族間扶養」という考え方は階層の固定化につながる。家計は世帯単位で考えるべきものだ。それが自助というものだろう。介護保険子ども手当など「家庭内の負担を社会全体の負担に外部化していく」という最近の社会保障の思想にも逆行する。目先の不公平感に配慮して、もっと大きな公正を損なうことに気付いていない。
▼個別のケースをたたくことが社会正義ではない。消費税を上げること自体が理念ではない。野田さんも片山さんも信念をはき違えて結局はサイフの中身を勘定してるだけだもんなあ。それじゃあ僕らとあまり変わんないよ。


昨日は妻のそぼろ丼に妻の友人作のナポリタン。もちろん妻の勝ち。

今日はキッシュに和風パスタ。なんでもいいけどつましい僕らの生活が成り立たないようなら、もう日本は人が住むとこじゃないね。