梅雨入り宣言!

ここんとこずっと曇っていた空からとうとう雨が落ちてきた。満を持して降り出した雨勢は、大粒ではないがかなり強い。敢然とした調子だ。傘なしではすまない梅雨の雨である。長男は学園祭、妻は友人とお出かけ、明日日曜出勤の僕は勝手に代休。練習試合が中止になった下の子とお留守番だ。
▼チャンネルをザッピングしていると、福島県小国町の親子のドキュメントで手が止まった。タイトルはずばり「外で遊びたい」。原発事故以来、線量の高い同地区で暮らす親たちは、被ばくを恐れ子どもを外で遊ばせることができない。子どもがいて、経済的に余裕のある家庭はみな引っ越している。避難区域ではなく避難推奨区域?なので、国の補助が一律でなく、老人と経済的余裕のない世帯が残っている。
▼取材の親子も母子家庭で両親の家に身を寄せている。母親は「自分が(避難を)決断しないからこの子を危険にさらしてるんじゃないか…」と自問ばかりしている。子どもはストレスを溜めこみながらも「しょうがないよ。(線量が下がるという)32年間待つしかない」という。彼が外で遊べないのは、一義的には原発事故のせいだが、二義的にはお金がないからだ。
▼午後から練習の下の子が午前中ずっと退屈そうにしている姿が重なる。はっきり言って部活は助かる。部活にはそれなりにお金がかかるが、保育園の学童版のようなものだ。僕自身、本を買うにも映画を見るにも釣りに行くにもお金がかかるので、せっかくヒマになってもどこにも行けない。
▼あれだけの惨事があって、今なお故郷を追われている人が大勢いるにもかかわらず、経済合理性が優先されるのだから、世の中はお金が全てだと思うほかない。首相の会見を見れば、福井や福島が大都市圏の電源供給地にすぎず、NHKのドキュメンタリーを見れば、子どもたちの健康すらお金で買うしかないことがよくわかる。
▼そう思うとやってられないので、真面目な人は原発事故のせいにしたり、そのうち諦めたりする。生活保護に親和性のある人たちは、もらえるものはなんでももらおうとするかもしれない。けどそれを高価な服を着てテレビに出てる人たちが「支給日にパチンコしてる」と非難するのはちょっと違うんじゃないかと思う。
▼オウム続報で菊地直子と同居していた高橋寛人容疑者が、逃亡中の高橋克也に直談判して数百万借金していたらしい。日経の記事によれば、当時の二人の収入は合わせて40万ほどだったが、転居費用などがかさんで次第に困窮するようになったという。前にも書いたが、「介護の仕事で月13万」とか「二人合わせて40万」というのは今の日本できわめて平均的な所得だと思う。そして平均的な日本人には被ばくの脅威にさらされても移動する自由もない。もっと言えば逃亡犯の暮らしと大差ない生活を送っている。
▼昨夜のうちごはんは鮭のムニエルにジャーマンポテト

かくいう僕はこの状況を天気のせいにする。ドキュメンタリーの映像の小国町も梅雨のような曇り空が広がっていたな。
五月雨を眺めて暮らす代休日
幽閉の窓からのぞく梅雨の空
僕も家賃2万円の社宅からしばらく出られそうにない。