イマドキの若者

昨日の晴天が嘘のように今日はまとまった雨になった。週に一度は雨が降り、雨が通り過ぎる度に寒さが増す。その雨が降らなくなったら、本格的な冬の到来だ。12月から年を跨いで1月いっぱいは風ばかり強く雨はほとんど降らない。年々で随分違うように感じられる季節の印象も、実際はそこまで変わらないのかもしれない。昨年の今頃のブログにも冬の匂いのエピソードが記されている。
▼長男が修学旅行から戻ってきた。仕事から帰るとソファでゲームをしてすっかりくつろいでいる。感想をきいてもこちらに目もくれず「メシがクソまずかった」と一言。学校の持参リストを見て出発前に慌てて買ったカップラーメンも、普段うちでは絶対口にしないのに二つとも食べていたと妻が補足する。すると「あー今日の夕食ホントうまかった」と伸びをして、今度はゲームをやめておもむろにテレビをつけた。
▼この子の特徴は良くも悪くも感情の起伏が激しくないことだ。冷静で現実的で若者特有の背伸びするところや夢見がちなところが全くない。これが僕なら両親を喜ばせようと身振り手振りでシンガポールについてのどっかでかじった話を見てきたように話すところだが、彼はまるでそっけない。彼には土産話もない代わりに自慢話もない。話を盛らないし嘘もない。おもしろみに欠けるともいえるが、虚栄心から自由な人はそうはいないだろう。それが彼の個性であり強みである。
▼話は変わるが先日とんねるずのみなさんで、かつて一世を風靡した人気番組「ねるとん」が復活していた。女性陣が全員ワケあり女子ばかりという企画に、今の日本の世相が垣間見えてなかなか感慨深いものがあった。「バツイチだったり子持ちだったり借金だったりいろいろなワケあり女性…」とナレーションが入るが、僕にはみんな同じひとつのことのような気がするが…
▼ワケあり女性の全てを受け止める男性陣は、弁護士1200万、会社経営3000万、会社員400万、公務員400万、番組スタッフ400万など職業と年収がセットで紹介されていた。前もこんなだったっけ?名札が値札じゃあまりに露骨すぎるだろ。だが一度辛酸を舐めたワケあり女子たちは、極めて冷静かつ沈着なのである。
▼印象的だったのは四人の男性が集中した一番人気の女性が、弁護士と会社経営を蹴って自分と雰囲気が似た男性を選んだこと。二人のうち年収三千万を捨て四百万を選んだ女性。初っ端から東大院卒が玉砕したこと。高学歴高収入高身長の男性がいるにもかかわらず、高望みせず身の丈にあった人を選ぶ。こうして八組のカップルが誕生した。以前はそんなに成立率は高くなかったと思う。
▼彼女たちの年齢は、いっても中三の子どもがいる37で、ほとんどが二十代である。してみると彼らの堅実さは、個人的な失敗の経験からくるというより世代的なものかもしれない。子持ちの37が僕が塾で最初に教えた世代で就職氷河期世代。それよりあとの世代が、世の中はもとより世の男性に幻想を抱くとは思えない。
▼ひょっとすると、冷静で現実的な彼女たちの一度目の過ちも、もしかすると世代的なものなのかもしれない。ワケあり女子のワケとは、同じひとつの現実、すなわち若い世代が世帯を維持することすら困難になりつつあるという現実なのだ。3高の弁護士の胸に飛び込むことができるのは、前述の37才子持ちが世代的にギリギリのところなのだろう。
▼今夜は寒くなると定番の鍋。わが家の男衆バカ三人がそれぞれ帰宅時間が違うので、家族みんなで鍋をつつくこともすっかりなくなってしまった。妻も最近は小鍋にわけて一人前ずつ出すようになった。それでは見栄えがしないので、写真はデザートの黒糖胡桃のみ。
お次は海外旅行帰りのお約束、現地通貨のコイン。

これが日本で使えないのは言うまでもないが、逆に日本のお金がそのまま通用する国は結構多いのである。

そして僕と同じバブル世代の妻の足ネイル。彼女はまだ僕に期待しているだろうか。