マスターモチベーション

立春以来厳しい寒さが続いていたが、今日は久しぶりにポカポカ陽気だ。明日からまた雨模様の天気が続く。少しずつ一歩ずつ春が近づいている。昨日有吉とマツコDXの「怒り新党」で有吉が「この時期どれくらい寒いかなんて毎年全然覚えてないもんね」と言ってたけど、確かに僕も日々こんなに天気を意識するようになったのは四十過ぎてからだ。
▼さて、久しぶりに叫ばせていただきます。とった、とったどォ〜。今回は大型物件ではないが、お客様に新たに取引口座をいただいた。営業にとっては単発の工事契約よりむしろこちらの方がうれしいかもしれない。そこは僕が担当する事業所の関連会社で、これまでは親会社の仕事か、あるいはゼネコンの下請で入ったことはあるが、直接の取引はなかった。まるっきりの新規開拓ではないかもしれないが、今までの仕事ぶりが評価されたものと素直に喜びたい。
▼仕事ぶりといっても建設プロパーでない僕に何ができるわけでもない。初めてこの事業所に入った時は、毎朝門の前に立って出社してくる社員に挨拶していた。それから折にふれてお願いにあがった。ゼネコンの下請の時は飛び越えて営業するのは失礼なので、おとなしくただ仕事だけしていた。回り道でも、誰にも義理を欠くことなくまっとうに行動していれば、自然に道は開けるものだ。ただし時間はかかるが。
▼入社して十年のうち、その事業所で大小合わせて四回ほど仕事があっただろうか。その間に最初の担当者が別の部署に移り、また戻ってきて今回声をかけていただいた。そこで初めて入札の土俵に上がるわけだが、まだスタートライン立ったにすぎない。既存メーカーとの受注競争に勝って初めて仕事になる。本当に大事なのはそこからだ。食い込むために安値受注した物件をなんとかトントンにもっていく。それから少しずつ利益をあげていく。
▼典型的な内需型産業である建設業は、グローバリゼーションやドッグイヤーという言葉とはまだまだ無縁だと思う。ここではなお、誠実な対応によって培われた信頼関係だけがものを言う。ひとつの取引先を開拓するのに十年、収益の柱に育てるのに十年。普通のサラリーマンにとって、そんな得意先が三つ四つできれば充実した会社人生と言えるのではないだろうか。
▼実はこれ先週の話で、いつもならとっくに濱口の雄叫びと共にひとり祝杯をあげているところだが、それどころではなかったのだ。ほぼ内定はもらっていたが、確実になるまでは安心できず、ファクタリングの手続書類を受け取って初めて喜び勇んで総務部長に渡したら意外な反応が返ってきた。「こんなもん先方がその都度手形切るのが面倒なだけだろ」そしてファクタリング=口座ではないことを延々説明し始める。
▼僕も世間知らずでファクタリングなんて単語は初めて耳にした。しかし客先の担当者との会話の中でも互いに「口座」という通称で呼び表したそのこと、僕が喜びを隠しきれずにいると、彼も「僕自身新しく取引先を作るのはこれでまだ二度目です」と言ってくれたそのものに対し、「法人登録が必要ならする。ファクタリングはしない。理由はファクタリングするほどの仕事がないから」という部長の言葉を伝えれば相手が怒ることは直観的にわかる。
▼また営業畑出身の社長に言えば即座に手続するよう指示することも直観的にわかるが、なんだか言いつけるようで気が引ける。なにより自分ではキャリアの中でも一二を争う成功だと思えることが、まるでそうでもないような言い方をされると、ホントに僕が勘違いしてるだけのような気がしてすっかり意気消沈していたのだ。
▼とにかく淡々と自分ができることをやろう。何があっても前向きに生きると決めたのだ。そう思えるまでに一週間かかった。いつものように誰も褒めてくれないから自分で自分を褒めることにして、今夜は祝杯だ。しかしホントに僕が勘違いしてるだけなのかな。

月曜はそぼろごはんにミネストローネ。

火曜はショックで忘れて、水曜はたまにはハヤシ君。

そして今日はチャーシューオムライス。祝杯に妻の手料理は欠かせない。その妻に地元の友人からチョコレートが送られてきた。

今日はバレンタインデーだったな。最近は友チョコが主流らしい。僕もほんのちょっと、ねぎらいの言葉が欲しかった。