ダースベーダ―たち(酒豪、酒豪)

日曜は朝刊が来なかった。配達の人が嫌になって川に捨てちゃったかな。その上「住人十色」も再放送の内容でガッカリ。このあたりは前週土曜放送分が流れるから、最初の放送で何かトラブルがあったのかもしれない。日曜出勤でただでさえブルーなのに朝からテンションダダ下がり。日曜版は僕の数少ない楽しみのひとつなのだ。
ポッカリと空いたポストにすきま風
▼朝礼後、すぐに強い雨が降りだした。濡れたまま作業したら、制服がホコリをひろって真っ黒になってしまった。しっかり降ってすぐにやむものだから、工事車両が汚した道路を掃除して回らなければならず散々だった。最近ついてない。めざにゅ〜の占いもずっと低調だ。霜月は僕の月じゃないのかも。
▼フグログでビールを飲まなかったと書いたが、実は夏ごろからうちでも晩酌してない。タバコをやめた時と同じでそう苦にもならない。「今日から禁酒禁煙!」と宣言したわけじゃなく、なんとなく飲まない日が続いているくらいの感覚がいいのかもしれない。代わりにお菓子やデザートの量が増え、会う人会う人「また太ったね」と言われる。別にダイエットのためにビール飲まないわけじゃないけどね。
▼これでいよいよ会合の時、おつきあいでしか飲まなくなったことになる。いきがって未成年の時に覚えたお酒だが、この年までよくあんなものを好んで飲んだものだと我ながら感心する。生涯心拍数もそうだが、なんでも総量は決まっていて、それを超えると打ち止めという説がある。セックスもアルコールもそう。セックスはともかくアルコールは学生の時飲みすぎた。そりゃあひどい飲み方したこともあった。ℂ雨上がりの夜空に
▼けど上には上がいて、僕の知っている職人さんは日本酒を毎晩一升あける。いっしょに飲んだことがあるから間違いない。ペロリという感じで気がつくともう瓶の底である。それで翌日ケロッとして仕事している。普通の人なら一升はひっくり返る量だ。一度接待で相撲取りのような体格のゼネコンの監督が、一升あけて立てなくなり連れて帰るのに苦労した。
▼こういうのは体質としか言いようがない。僕も最盛期は30分でウイスキーを一本空けてたけど、もちろんすぐにひっくり返って三日は起き上がれなかった。僕は体質的にはゆっくり飲んでボトル半分が限界。強くはないが下戸でもない。ごくごく普通だと思う。その普通の僕がムチャのみしてたんだから、もうそんなに飲みたくないのも当たり前だね。
▼体質的に強い人で鮮明に覚えているのは、学生の頃のバイト仲間の父親である。ある日田舎から父親が出てくるという彼から「差し向かいだと照れくさいからつきあって」と頼まれた。その時はもう閉山していたが、なんでも三井三池炭鉱の炭坑夫だったらしい。どんな熊五郎かと恐る恐る下宿を訪ねたら、彼に似てひょろっとしたおとなしい人で拍子抜けした。
▼ところがこれがとんだうわばみで、いくら飲んでも顔色ひとつ変えない。恐ろしく口数が少ない人で、「息子をよろしく」と「まあ飲んで」以外の言葉が出てこない。気の利かない息子がツマミを用意してないのに、湯呑み茶碗で黙々と焼酎を飲んでいる。畳の上に一升瓶が、確か二本並んでいたと思ったが、同じペースでつきあううちにたちまち記憶がとんだ。
気がついたのは翌朝お父さんが帰った後である。
▼先日のお泊り会合では久しぶりに酒を飲んだ。去年まで、出された料理は残さず平らげていたが、不意に「美味しくなかったら食べなくてもいいんだ」という天啓が舞い降りてきて、残した。僕の中で何かが変わりつつある。実際最初からお膳に並んでいる天ぷらは冷えて固く天ぷらではなかった。
▼お隣りの大企業の営業所長の方とお話する。「今日で三日連続ですよ。昨日は東京で飲んでました」とか「週の半分以上は会合だからうちでは飲まない」とか「現役モデルと一晩15万ていう機会があって、その時6人いたから100万近く。どうやって金を工面するか考えましたよ」とか言ってる。その企業はわが社の重点営業目標。社長からいつかその所長を接待するよう言われていたが、こういう話をきくと、今さら僕みたいな田舎侍が何をやってもムダだと開き直ってしまう。これもまた体質的なものとしか言いようのない何かである。

日曜は豚丼にミネストローネ。

そして今日は味ごはんに豚汁。あったまる。寒くなってきた。