リベンジポルノという心理

好天が続くが、なかなか気温が上がらない。晴れてはいても雲ひとつない晴天とはいかず、やはり冬の空である。酷暑から一気に厳寒へ。年々秋が短くなる。そういえば今年はまだうちで秋刀魚を焼いていない。不漁で値段が高かったこともあるが、淋しいものだ。
▼昨日は仕事でかなり重大なミスをして始末書を書いて遅くなってしまった。責任者はあらゆる責任を負い、謝るのが仕事だが、自分でミスして自分で謝ってりゃ世話ないね。多忙を極めると、当然なことほどついウッカリ忘れてしまう。いわゆる盲点だ。だがそのほんのちょっとのことが命取りになる。どんなにマジメにやっていても、たったひとつの失敗で全てが台無しになる。それがビジネスだ。そういうリスクのないものを仕事とはいわない。それは作業である。
▼うちに帰って風呂に入って晩ごはんを食べながら深夜帯の番組をザッピングしていると、NHKnewsweb24の「リベンジポルノ」というキャッチにひっかかった。例の三鷹ストーカー事件で、殺害された女子高生の画像が一時ネット上に流出して話題になったのは記憶に新しい。流したのは元カレ犯人のチャールストンである。「恥ずかしい写真を会社にばらまくぞ」というのは昔のドラマでもよくあった。会社でバラまいたら完全に犯罪だが、ネット上なら罪の意識が薄くなるのだろうか。フラれた腹いせに同様の行為に及ぶ男性が増えているという。
▼「写真を撮る時点ではつきあっているわけで、一番信頼している相手がまさかそんなことをするとは夢にも思わない…」とか「要求がだんだんエスカレートしていくのでどこで断るか難しい」とか言ってるが、そういう問題じゃないだろう。キャスターの橋本アナ(大ファン)の「私なら写真撮らせてくれっていうだけでドン引きですけどね」っていうのが一番的を得ている。
▼僕もエロ本を作っていた頃は自らの裸体をカメラの前に晒したものだ。モデルとの絡みは編集者がやるものと決まっていた。そんないつもの撮影日、たしかフーゾク体験コーナーだったと思うが、その日のカメラマンが部屋に入るなり真っ先にハンディカムをセットし始めたのだ。「研究のために撮影の様子を撮っておこうと思って…」てどんな言い訳だ?胡散臭いことこの上ない。その証拠にレンズは明らかに僕のケツの穴に向いてるじゃないか!彼はカメラのシャッターを一枚切るとビデオの方に駆け寄っては微調整している。ビデオがちゃんと録れてるか気になって写真どころではないようだ。
▼彼らゴロツキどもは、ある時雑誌から謝礼をもらうと同時に、撮影の様子をビデオに撮って、それをダビングしてセルビデオ店に売っ払うことを思いついたのだ。あの映像はまちがいなく流出している。僕の毛だらけの汚いケツも流出している。僕も自分の雑誌が鄙びた個人経営の書店にしか置かれない活字ポルノのグラビアページだからこそ一肌脱げるというもので、より大勢の目に触れる可能性のあるAVに出演するのはさすがに抵抗がある。肖像権の侵害というより、なにか盗まれたような感じがしたものだ。
▼リベンジポルノという行為に、僕はこれと同じニオイを感じる。昔の人は「魂が吸い取られる」と言って写真を撮られることを極端に嫌った。翻って誰かを撮るという行為には、極端に利己的なものが内包されている。被写体側がたとえ撮影を許可していたとしても、撮る側と撮られる側には意識のギャップがあり、そこに写っているものはその人であってその人ではない。
▼橋本アナ(好きです)が喝破したように、ネットに流す流さない以前に、あなたの写真を撮りたがる彼を信用してはいけない。別れて状況が変わったわけではなく、元々彼はあなたを愛してなどいなかった。彼がやっていることは盗撮である。その後エロ本編集者としてモーターショーのレースクイーンからコミケのコスプレ少女までパンチラムネチラを盗撮しまくった僕だが、彼女との最後のデートに持参していった買ったばかりの一眼レフのレンズだけは、ついに彼女に向けることはできなかった。

昨日は日付が変わる頃にがっつりと牛丼に春雨スープ。

そして今日はポークソテーに絶品のポトフ。妻はいい夫婦の日に相応しい最高の手料理で迎えてくれたが、ボクログは今日の日に相応しいテーマとはいえないな。