カウントダウン

天気は下り坂。風もなく寒さも緩んだ。夜になり、堪えきれず雨が降り出した。雨が上がれば一気に冷え込むだろう。今年も残りあとわずか。なんだかんだ言って暮れらしくなってきた。年に一度の楽しみな帰省もすぐそこだ。
▼暦のならびがいい今年の年末年始は、公官庁をはじめ28日の仕事納めから6日の仕事初めまで9連休のところが多いときく。連休を利用してインフラ整備を行う製造業は、暦がどんなならびでも春夏冬三度の大型連休は毎年必ず9連休だ。極端に休みの少ないわが建設業も、今年はさすがに年明け5日まで出て来ない人が多い。
▼わが社の会社としての仕事納めは30日の月曜日。事務員は土日休んだ後事務所の大掃除だけやりに出てくることになる。バカバカしいことこの上ないが、こんな時に9連休にできないのが中小零細の気の小さいところである。当社は連休工事が稼ぎ時。裁量労働の僕は関係ないが、日給月給の現業社員の休日手当が増えないように、会社として公式の休日を抑えているのかもしれない。
▼超優良企業のはずのワタミユニクロをはじめ、今年はブラック企業が話題になった。うちの会社は残業や休日手当がつかないということはない。その代り先に見た通り可能な限り会社の休日を少なく設定している。普段から祝祭日も土休もない勤務体制になっている。法定は週40時間のはずだが、おそらく休憩時間などを長く届けているのだろう。
▼しかし週休二日制で年に三度の9連休以外にも有給消化が義務付けられている大企業も、本質的には同じである。必達ノルマがあり、休みが決まっていれば、仕事をうちに持ち帰らざるをえないだけのことだ。そうでない仕事、例えばライン作業などは、仕事ではなく作業である。正社員と非正規社員の格差も社会問題化しているが、仕事と作業で賃金体系が違うのは当然だろう。なれるなれないは別にして、正社員が賃金だけ高いとは限らない。
▼こういう問題は、基本的に働いた分だけしか返ってこないと思っていればまちがいない。特においしい仕事があるわけではないのと同様、ブラックも非正規もない。なんの責任もリスクもなく、9時5時の職場に通ってさえいれば十分なサラリーが得られ、ストレスなく休日の釣りやゴルフのことを考えていればいい仕事も公的機関にないわけではないが、そんな人生をうらやましいと思うかつまらないと思うかも含め、個々人の考え方の問題だ。そんなに稼がなくてもいいという選択肢もある。仕事はやらされるものではない。人生を主体的に生きるかどうかの問題だ。
▼僕は今、流した汗、絞った知恵の分だけしか見返りの無い、逆にいえば見返りのある職場にいる。それはしあわせなことにちがいない。そして家庭を維持し、子供の希望に添える程度にはがんばろうと思うが、それだけが人生ではないとも思っている。当ブログでもいろいろ社会に批判的なことも書いてきたが、こと自分のことに関しては、世の中や他人に特にうらみもなく平静な態度でいられるのはしあわせなことだ。
▼逆に不幸な人とは、自己の境遇に不満で、それを世の中や他人のせいだと思っている人のことである。餃子の王将の社長が射殺される事件が起きたばかりだが、年の瀬は凶悪事件が多くなるように感じる。犯罪に手を染めるような不満分子は、不幸な子と呼んだ方がいい。その方が何が原因かはっきりする。拳銃なんか所持しているのは組織犯罪かもしれないが、暴力団のような組織の構成員になること自体、幸福な人にはありえない話だ。
▼例年通り妻は一足先に帰省した。今頃思い切り羽を伸ばしていることだろう。家事に休日はない。たまには休暇も必要だ。部活のある子供たちは29日の夜の新幹線に乗る。そして僕はこれも例年通り大晦日まで働いて最終で帰る。妻の実家に着くころには除夜の鐘が鳴っているだろう。雪も降っているかもしれない。

妻が帰省前に作った唐揚げにサラダにミネストローネ。絶品である。

残された父子で食べたクリスマスケーキ。サミシイので部屋の灯りを消してローソクをつけてみた。幸福な気分だ。安くできてるね。