みんなボーダー

梅雨明けの青空が広がっているが、盛夏の暑さにはほど遠い。びっくりするほどの涼しさだ。
▼さて、わが家に新しいクーラーがやってきた。今は専用のコンセントがないとクーラーの取付はできないようになっているらしい。取付工事とは別に電気工事が必要になり、結構たいへんだった。前のクーラーの効きがよくなかったので、当初馬力をあげたものを購入していたのだが、電気屋に「今の容量で馬力をあげるとブレーカーが落ちるかも」と指摘され、一度買ったクーラーを交換したりとバタバタだった。
▼なんとか無事に始動したクーラーだが、結論からいって非常に具合がいい。前のはクーラーのある居間だけしか冷えなかった。間取りが悪いせいで隣の寝室には冷気が全く届かず、朝起きると無意識のうちにいぶりだされた子供らのクビが部屋の入口に並んでいた。今は寝室も快適なら、なにより灼熱のキッチンにも冷気が行き渡るので、妻の調理が随分楽になった。
▼昨日は午前中ブログを更新し、午後はうたた寝。やはり日曜の休みは何物にも換えがたい。日曜恒例の報道バラエティの話題はウクライナ上空マレーシア航空機撃墜、倉敷小5行方不明女児保護、ベネッセ顧客名簿流出。誘拐事件で被害者が無事保護されたのはよかった。新潟監禁事件同様、容疑者は女の子といっしょに暮らしたかったのだろう。自称イラストレーターの49才男性に、近所づきあいはなかったという。
▼テレ朝系報道番組のコメンテーターには驚いた。こんな人材どこから探してくるのだろう。東大法学部出身、元財務官僚の美人弁護士である。黒鉄ヒロシが言う。「事件は社会と接点のない男の妄想が引き起こした。こういう人をいかに現実社会に引き戻すかが課題だけど、彼もう49でしょ。もはやこれまでって感じですね」全くその通りだが、黒鉄はともかく、ひきこもり中年男が起こした監禁事件のコメントをエリート美人弁護士に求めるのは違和感がある。
▼ここ最近ずっと考えていることがある。僕がたのむ土工は、この人手不足のご時世にいつたのんでもあいている。前日の20時を回ってもまだ売れていない。彼は自衛隊員にも肩たたきがあることを教えてくれた。「早く除隊しないと退職金がどんどん少なくなるんです」と言ってたが、兵隊だって優秀ならサンダース軍曹のように下士官になる道もあるだろう。しかし「やれ」と言ったことができず、「するな」と言ったことをやる彼の行動は、部隊を全滅に追いやる危険性を孕む。そして最大の問題は彼に悪意がないことだ。彼は不真面目なのではなく、どうしようもなくデキが悪いのだ。
▼親兄弟、身よりの有無など環境面も含め、人間この生来の部分だけはどうしようもないと思う。彼はもう、いっしょに暮している友人と同じように生活保護を受けた方がいい。選挙違反で収監された元民主党議員山本某の著書「累犯障害者」のレベルである。49才監禁男のような社会から孤立した中年の性犯罪者やストーカー、自衛隊を追い出された雑工のような社会の最下層に生きる日雇い人夫、身体を壊すまで酒を飲み身体を売る風俗譲などの大半はこの部類に入る。
▼こういう人たちをどうするか。彼らの受け皿は自衛隊暴力団、刑務所、人夫出しのどれが最適か考えなければならない。生活保護の財政負担と、彼らが実社会に出た場合に使用者が被る不利益を天秤にかける必要がある。寝たきり老人の社会的入院と同じ課題である。人権派弁護士やエリート美人弁護士が簡単にコメントできるような問題ではない。
▼海の日の今日はたまった事務処理をした後、思いたって映画を観に行った。石井裕也監督の「ぼくたちの家族」

虚構の家族がとっくに崩壊していることを、トリックスターである母親が気づかせ、再生のきっかけとなる役割を果たすのは、西川美和監督の「蛇イチゴ」(この場合は主人公の兄)にも似る。ギリギリのところで踏ん張って、何とか正気を保って生きているのは何も底辺の人たちだけではない。少しがんばろうという気持ちになった。人を元気にする映画だ。

昨日は冷ナスに冷ソバ。

今日は煮込みハンバーグ。