ぼっちがマシ?

週初の大雨の後、夏に戻ったような陽気が三日続いた。昨日、すっかり陽が落ちた駐車場から家への道すがら、虫の音が急に大きくなった気がした。ようやく秋がやってきた。もう11月も目の前だ。
▼寒くなってきたところで日本シリーズが始まった。テレビの画面越しにもわかるほど雨が降っている。この時期の雨は冷たい。選手が風邪をひかないか心配だ。一雨ごとに寒くなる。誰かがケガをしないうちに終わってほしい。似たようなチームカラーだが、日ハムの方が打線に迫力がある。ジョンソンがどれだけ踏ん張れるかだな。
▼毎日よく眠れない。慢性的な睡眠不足なので、晩ごはんを食べるともう眠くて仕方ない。妻といっしょにドラマを見ていても、僕はほとんど寝ているらしい。しかし布団に入ってシーパップを装着すると眠れない。何度も書いたが、1時には目が覚めるか、寝るのをいったん諦める。そしてスマホで自分のィンスタグラムとブログに反応がないことを確かめて、そのまま過去ログを読んで3時頃もう一度寝る。
▼家族会以来、弟が気がかりでしょうがない。他人の家庭の事情を詮索することに対する常識的な遠慮を取っ払ってしまえば、彼が苦境にあることは間違いない。具体的な事例よりも彼のある態度、いろんな言い訳をして現実を見ようとしない態度が気になった。その言い訳は僕らに向けられたものではなく、自分自身を誤魔化すためのものだ。現状から抜け出せない多くの人が身につける習慣である。
▼例えば太っていることを指摘すると「無呼吸だから」という。実際無呼吸で睡眠がとれないと基礎代謝が落ちるらしい。つまり巷間言われているように、太っているから無呼吸になるのではなく、肥満と無呼吸は卵と鶏の関係にある。それなら無呼吸の治療をしているかといえば「シーパップは面倒だからやめた」という。そして「太っていること以外全ての数値は正常だからね」と続く。予め自分を納得させておいた答えが間髪入れずに返ってくる。
▼NHKラジオすっぴん金曜のゲストはコラムニストの朝井麻由美さん。テーマは「ぼっち」。一人っ子の朝井さんが、一人っ子の特徴と(ひとり)ぼっちの気楽さについて語る。人間関係にいらぬ気を使わなくてすみ、いわゆるおひとりさまも全く気にならないという。たしかに一人っ子なら、僕が今考えているような気苦労とは無縁でいられる。
▼朝井さんのことは知らなかった。お父さんは著名なコラムニストの泉麻人。バブル期に超売れっ子だった氏を知らない人はいなかった。けどやはり未読である。お父さんは僕より10才上、娘さんは20才下。もう少し年が近いか遠ければ、先輩後輩、先生と生徒、親子など想像しやすい関係もあったかもしれない。父親はたしか「街の歩き方」のような本だったが、娘の新作も「ぼっちの歩き方」らしい。
▼妻を初め、僕の周りにも意外に一人っ子は多い。僕の一人っ子に対する印象はクールでスマート。子供を持ってわかったことだが、一人が二人になれば何もかも二人分かかる、テマヒマ、端的に言ってお金が子供の人数分かかるのは当たり前のことだ。一人ならその分手をかけられる。つまり一人っ子は一人だから快適なのではなく、余裕があるから快適なのだ。
▼やはり少し前のすっぴんで子供の教育についての話があった。パーソナリティのゲンちゃんが自分の話として「僕の父は自分が好きなことができなかったから子供には好きなことをやらせたいと自由放任だった」と話した後で、今度は安藤親子の話をする。父親の奥田瑛士は二人の娘に年に一度だけ必ず「将来何になるんだ」と問いかける機会を持ってきたという。結果、姉の桃子は映画監督として、妹のサクラは女優としてブレイクしている。
▼しかし安藤姉妹のお父さんは俳優の奥田瑛士、母親は女優の安藤和津だ。二人の姉妹にとっては考えるまでもなく、そうなることが自然だった。コラムニストの朝井麻由美もしかり。書いてる中身まで似てそうだ。読んでないけど。こういうのは才能というより、子供が身を置いてきた環境の問題だ。親が意図をもって意識付けしようが放任しようが、子供にとっては親の生き方や暮らしぶりだけが、想像や聞いた話ではなく現実に経験できることなのだ。
日本シリーズはジョンソンが踏ん張って広島が先勝した。弟もまたテレビで観戦しただろうか。知らず知らず歩いてきた細く長いこの道もだいぶ下流に近づいてきたようだ。僕も弟も、もう残りの人生の方が短い。今から一発逆転も上げ潮もないことを自覚しなければならない。でも海に出るにはまだ早い。自分の人生はともかく、子供のために踏ん張らないと。それにしても、まだ子供が小さい弟には気の遠くなるような話だ。途中で折れてしまわないか、やっぱり気がかりでしょうがない。なんにしろ一人でやりきれる話じゃない。夫婦で協力しないと。





この一週間のお弁当。毎日似たような感じだが不思議に飽きない。同じものを上の子も下の子も持っていく。もし子どもたちがいい子に育っているとしたら、それは妻の食育のおかげだ。





そして今週のウチゴハン。全体においしいが、ガードマンからもらった里芋の入った昨日の煮物は特筆モノ。パートナーに恵まれた僕には想像もできないが、「ぼっち」の方が気楽というのもひとつの真実かもしれない。