北の犯罪行為

昨日午後、ラジオのNHKを聞いていた時のことだ。電話相談室で女性アナウンサーが、ウシロノさん(おそらく後野と表記するのだろう)をつかまえて、事もあろうにウスノロさんと呼びかけ、「失礼しましたウシノロさん(まだ間違えてる)ウシロノさん」と慌てて何回も訂正していた。しかしいくら訂正しても、それ以降僕の耳には、もうウスノロとしか聞こえなくなってしまった。
エッシャーのだまし絵は錯視を利用したものだが、錯聴というのも確かにある。例えば山形弁の人と話した後は、歌手のシャーデーやCD(シーディー)が訛っているような気がするが、実は正しい。逆にレモンテーやNTT(エヌテーテー)は訛っているが、そんな気がしない(のは僕だけか)。▼これをまとめると、「喫茶店でレモンテーを飲んでいると、自然にNTT株の話やシャーデーの新譜CDの話が耳に入ってくる」となり、ヤッシーの「なんクリ」のような80年代の臭いプンプンの小説になるわけないか。
▼なかなか本題に入れない。侮辱されたウシロノさんがようやく話し始めた時だった。女性キャスターが「ウスノロさん、ウスノロさん(僕にはそう聞こえる)ちょっとお待ちください」と無情にも制止し、「たった今ニュースが入ってきました。ウスノロさんには後ほどお伺いしますのでしばらくそのままでお待ちください」とウシロノさんの都合も無視して北朝鮮のヨンミョンド砲撃の模様を伝え始めたのだ。
▼いきなり砲弾を浴びせた北の軍事行為が許しがたいものであるのは言うまでもない。だがその時僕がなぜ胸を傷めたかと言えば、それは無下に話を切り上げられたウシロノさんの心中を慮ってのことである。
▼北が悪いのかNHKが悪いのかよくわからないが、ウシロノさんがかわいそうなことだけは確かだ。