考え方

年明け以来、疾風怒涛の日々が瞬く間に過ぎてゆく。こんなことがいつまで続くのかと思うとぞっとするが、逆にこれくらい働くのが普通で、常日頃の僕の働きが悪いのかもしれないと思うとそれもぞっとする。
▼世間的にはいっぱしの年になった今も、僕の精神年齢は物心ついた頃とさほど変わっていないが、実際に世の中に出てつくづく思うことは「マクロを考えるな」ということである。世界の潮流がどうであれ、日本の現状がどうであれ、個人ができることは目の前の課題に正面から立ち向かうことだけだ。
▼例えば斜陽と呼ばれる産業があるとする。我々に、その縮小する業界のパイそのものを大きくする方法を考える資格はないと思うべきだ。考えるのは自由だが、考えることと実際にできることは違う。その小さなパイを独占するためにそれぞれが切磋琢磨することによって、結果的に大きくなるやり方でしかパイは大きくならないと思うべきだ。
▼今日本が立ちすくんでいる陥穽もそういうことだと思う。戦後や明治維新の頃に比べて、国を憂う人たちが評論家になってしまった。評論する前に汗をかくしかないだろう。