年若き友人たち

人間関係の親密度を計るには、結婚式がうってつけだ。招待状が届けば、彼らにとってあなたがベリーインポータントピープルであることを疑う必要はないだろう。もし届かなければ、普段いくら親しくつきあっているようでも、相手はあなたのことをそこまでの間柄とは考えていないかもしれない。
▼職を転々としてきた僕は、仕事関係ではお通夜以外の冠婚葬祭には縁がなかった。晩婚化が進んだせいか、友人や同じ年頃の親戚にも未婚の人が多い。それでなくても人間関係の薄い僕はますます結婚式に縁遠くなる。そんな僕も何度かは他人の式によばれたことがある。そのうちの一人は年下の友人のものだ。
▼大学をやめて小さな出版社でバイトし始めた頃、僕は親友を介して学生のボランティア仲間たちと知りあった。身分はバイトだが、まがりなりにもフルタイムの社会人で学生よりは自由になるお金のあった僕は、彼らに飯を食わせたり酒を飲ませたりしながら彼らの体験談を聞くのが常だった。
▼彼らとて、本当は異国の地で共にボランティア活動に励んだ親友を呼びたいに決まっているのだが、その彼は今も海外に留まり出席しようにもできない。代わりに日本にいる僕に声をかけてくれるというわけだ。
▼その僕より幾分下の世代の友人が、この春もうひとり結婚することになった。正直なところ、交通費を含めご祝儀の家計への負担はかなり大きいが、何をおいてもこの仲間は大事にしたい。
▼二十年前に知り合った頃からそうだったが、みんな気持ちの優しい青年だ。それは三十年前に知り合った親友も同じである。ということは、ボランティアこそ経験していないが、自分も彼らと同じ優しい人間の仲間なのかもしれないと、信じてもいいような気にさせてくれるひとときだから。