これはマンガだ!〜福島原発大作戦

津波をかぶって燃料棒の冷却機能が失われ、放射能漏れが心配される福島第一原子力発電所では、東電職員を始め自衛隊、機動隊員らによる文字通り懸命の作業が続けられている。
▼記者会見で相変わらず居丈高なマスコミ関係者には「おまえがやれ!」と言いたい。彼らがなぜ自分たちにはそんなエラソーな態度で他者を批判する権利があると思えるのか不思議でならないが、その件についてはとりあえず置く。
▼1号機の水素爆発に始まった原発クライシスだが、これまで報道では1号3号時々2号みたいな感じだったのに、昨日点検中で止まっていたはずの4号機の映像が突然流れて唖然とした。「ボロボロやん…」下の子は「溶けてる…」と言ったきり固まってしまった。
▼この間僕の頭にはいくつもの?が渦巻いていた。最初に1号機の屋根が飛んだ時、解説者は「建屋に溜まった水素爆発だから大丈夫」と言っていたが「それって縮めていえば水爆じゃん」と思ったのは僕だけだろうか。あるいは「地震に対しては万全なのに予想外の津波が…」というが、海辺に建てといて地震津波をセットに考えなかったのだろうか。
▼冷却系とか難しいことを言ってるが、水をかぶって電気がパーになったことはシロウトでもわかる。そして電気がなければ何も動かないのだ。海水を注入するもうまくいかず、消防車で放水すると聞いて、僕は「ああやっぱりな」と思った。
▼これはある意味火事なのだ。火事だって消火できずに全焼してしまうことはままある。ましてやアトムのパワーをうまく鎮火できるはずがない。稼動してようがしていまいが、高度な技術で稼動中でも地震がきたら止まるように設計されているのかもしれないが、要するに人間はいざというときに原子力をコントロールできないのだ。
▼「だから原発は反対なんだ」なんて言うつもりはない。ハイリスクハイリターン。燃料棒が熱を持って冷却水がどんどん蒸発する。そのスピードに注水が追いつかない。空焚きになると燃料棒が溶けてくっつき、温度は2700度?にもなるという。とてつもないエネルギーだ。そのエネルギーを人類は利用しようと思った。初めて火を使った時と同じように。
▼しかし上空からヘリコプターで散水して風で散ってしまったり、地上から放水するも目標まで届かず撤退したなんてニュースを見ると、僕みたいなおじさんは小さい頃見たゴジラガメラの映画を思い出す。もうほとんどマンガの世界だ。最後はウルトラマンか何かが大爆発寸前に宇宙の彼方まで運んでくれるしかないような気がする。
▼前にも書いたが、僕は建設関係の仕事をしている。今、福島原発で行われているドタバタ劇は、僕が普段から目撃している光景にそっくりだ。ポンプの配管が詰まって待機中の生コン車が全部パーになる。型枠がはぜて生コンが全部流出する。土間の高さを間違えて打設したコンクリをみなはつることになる。何年やってても、気をつけてやっているつもりでも時々は起こる。
▼どんなに科学が進歩しても人間がやる部分は残る。そして非常時ほどその部分は大きくなる。その手作業の部分の不手際さ加減は、天下の東電もうちのようなローカルの小さな会社もほとんど変わるところはない。ほんとに人間は滑稽な存在だよ。人間だもの。相田みつを