いきものがかり

最近年をとったなと思うことのひとつに昔ほど食べれなくなったことがある。以前と同じ量を食べると確実に胃にもたれる。キッシュにパスタと、昨晩の献立が自由人さん宅と偶然(ホントですよ!)いっしょになった今朝もまだだいぶ胃に残っていた。年長の自由人さんの方がよっぽど食べてると思う。健啖家でうらやましい!
▼祝!GWということで待望の長期連休にどっぷりつかるはずが、緊急の見積依頼で出社。下の子が僕が休みになるのを手ぐすね引いて待っていたので、なるべく早く終えるつもりで家族が眠っている間にそっとウチを出る。
▼だが仕事はそんなに甘くない。7時が過ぎ、8時になり、ケータイが鳴り始めた。洋麺屋のパートをしている妻はかきいれ時のGW中はほとんど出勤。長男は今日から三日間部活の合宿で山梨行だ。ひとり取り残された下の子が外タレのプレミアチケットを予約する勢いでコールを繰り返してくる。
▼なんとか昼前に片付けてウチに飛んで帰り約束の釣行へ。途中竹山に目をやると、あちらこちらに人の背丈くらいに伸びた筍が見える。「もう遅いかな…」今年も食べ損ねたという後悔の念が、白昼の竹林を随分風情のないものに見せる。
▼30分も走らせると海が見えてきた。遠浅の浜辺に大勢の人がうずくまっている。潮干狩の習慣がない国の人から見たらある意味異様な光景だ。人がカニになる伝染病か新手の新興宗教と思うかもしれない。
▼欲張りな僕たちは竿を出しておいて貝を探ろうと両方の準備をしてきたが、思いのほか風が冷たくて海に入る気持ちはすぐに失せてしまった。やはり潮干狩りはもう少し暑くなってから海パンいっちょうでやるのが一番いい。
▼釣りの方はメバルには遅くキスには早い中途半端な時期で、いかにも釣れそうな気がしない。結局子どもにキスが一匹きただけだった。それでも下の子はツキモノが落ちたように機嫌がよく、子供は親がいっしょにいてやるだけで安心するものなんだなと改めて思う。
▼そうこうするうちにパートを終えた妻から、「今日はきついから外食にしない?」と提案の電話。妻はここのところずっと体調がすぐれない。給料も出たことだし近所の回転寿司チェーンへ。

自由人さんの一貫一貫写したくなるような「いずみ」劇場の寿司にはあまりにも遠く、集合写真でハイチーズ。まあ比べるのが失礼か。
▼ハテ何を食べたかな。サケ、つぶ貝、ウニ、まぐろのヅケ、コウイカ、エビとアボガド、ホタテ、アジ、シメサバ、鉄火巻イクラ、ホッキ貝、カツオのヅケ…結構食べてるじゃん。シャリが酸っぱいとは思ったが、それなりに楽しんだつもりだったのに、帰宅すると妻に「ずっと仏頂面だったけどどうかしたの?」と言われた。
▼確かに近頃外食に行く度に頭をよぎることがある。これまでもこれから先も僕は自分の子供たちを、おそらく食べ放題の焼肉か回転寿司にしか連れていってやれないだろうってことだ。そんな情けない父親でも全幅の信頼をよせている子どもたちが不憫でならない。
▼帰りの車でそんな僕の気持ちを和ませるシーンが。妻がご近所さんの家の家族構成についてきいてくる。「○○さんのとこお子さん二人いるの?」よく知らず生返事を繰り返す僕に代わって下の子が答えてくれている。「うんそうだよ」「小学校上がったばっかりの女の子の下に?」「そう男の子」「そうなの、知らなかった」「あと猫が二匹いるよ」思わず「そう、猫が…」と反応すると「うん、あと犬が一匹とウサギが二匹」「ホントかよ!」ブレーメンの音楽隊か。妻も笑っている。生き物大好き生き物バンザイのいきものがかりの下の子の、僕のいきものがかりはいつまでやらせてもらえるのだろうか。