現実はキビシイのだ

GW二日目の昨日は午前中に所用を済ませ、下の子にすき屋で昼メシを食わせた後、夜の会合まで午後はダラダラ2時間サスペンスなど見て過ごす。途中何度も電話がかかってくるし、なんだかんだでまるまる休める日がないな。
▼みんな仕事好きだね。暇だ暇だいって午前中会社にいったらみんないるもんね。ほかにやることないのかな。僕なら仕事が暇なら即休むけどな。ホントは連休明けの忙しさを思うとちょっとでもやっといたほうがいいことが多いんだけど。
▼会合のメンツは業者仲間みたいなもので、社用と私用の境界ギリギリのところだが、たまに仕事を頂く関係上支払いをさせるわけにはいかない。会社の経費を使うのはこれで二度目だ。まだドキドキするし、ドキドキしてるうちは有効な使い方なんてできないんだろうな。
▼でもようやくここまできた。領収書を切れないうちは全部自腹でつきあいがたいへんだった。人の分まで出さなくても自分の払いだけで相当な負担だった。友達でもないのにゴチソウになるわけには絶対にいかない。それをやったら「あいつはだらしない」ということで、この世界で二度と浮かばれないと、営業の心得を社長に叩き込まれた。
▼当時は「じゃあどうすればいいんだ?」と思ったものだが、最近やっとその意味がわかってきた。誘いを断るのも仕事のうち。大人の男には、そういったスマートな身のこなしの全てがもとめられるのだ。
▼僕のような着たきりスズメには季節の変わり目が悩ましい。昨年の秋口社長のお供をした際上着を着て来なかったことを咎められたので、結婚する時妻が仕立ててくれたスーツを引っ張り出してみた。結婚して20キロは太ったのでズボンは絶対ムリだが、上着なら?と思ったのだ。袖を通すとそんなパツパツでもない。ユニクロのシャツとチノパンに引っ掛けるとなんとか様になった。
▼会社でよく使う北海道の鮮魚を扱う割烹居酒屋へ。刺盛から焼物、煮物とお任せで料理は頼んでおいた。ツブガイ?の刺身がうまい。焼きタラバも最高だ。ああデジカメがあったらな。家計のために一年前私用のケータイを解約したので、僕が今所持しているのは会社のカメラなしケータイだけだ。
▼2時間ほど談笑してシックな雰囲気のクラブへ移動。カラオケもなく、女の子の質も数も十分だ。錆びれる一方の地方都市にあっては貴重な存在と言わねばなるまい。メンバーを考えれば、一軒目も二軒目も少し高級過ぎたかもしれないが、それは相手に失礼か。人を見て仕事をしないのがよくも悪くも僕なのだ。
▼いったんそこでおひらきになったが、メンバーのひとりに誘われて断りきれずもう一軒。行く前からだいたい予想はついていたが、どうしても行きたくなかった店だ。僕はこの店で水商売の本質を知った気がする。それは、水商売が女性版究極の肉体労働だということだ。
▼特に容姿が優れているわけではない。特に話術が巧みなわけでもない。接客の基本もなってない。気もきかない。勢いすぐカラオケに頼るが歌もヘタ。そんな女の子が売上をあげるには、身体をはって客のボトルを空けるしかない。
▼この店ではボトルはキープするものではない。毎回必ずボトルがあくし、2、3ヶ月行かないと流れているから常にニューボトルということになる。そしてボトルの大半は店の女の子が飲む。だからその店のコはいつ行っても酔っ払っている。日曜以外毎日明け方近くまでそんなドンチャン騒ぎが続く。売上が上がらず店がつぶれれば路頭に迷う。身体を壊すまで走り続けるしかない。
▼そして僕は毎日これと全く同じ光景を、建設労働の現場で目にしているような気がする。今の日本を覆っている閉塞感の正体は、つきつめていえば、男性にしろ女性にしろ、名も芸も才もない大半の人がほぼ同じ状況に置かれていることからくる。僕はこの店に来ると酔いがどんどん醒めてゆく。この店は僕に夢を見せてくれる場所ではなく、現実に引き戻される場所なのだ。
▼日曜日は雨だったこともあって、後味も悪く一日中ウチでゴロゴロしていた。考えてみれば初めて丸一日休めた。午後から妻と二人で買物に出掛け、タコ焼きの材料を買ってきた。

僕のアイデアでタコの代わりにアサリも入れてみたがイマイチ。これまでも豚肉を入れたりいろいろ試してみたが、今のところタコに匹敵する具材はない。タコ焼きを考えた人は天才だな。

▼夕方上の子が三日ぶりに合宿から戻ってきた。明日は子供たちは学校だ。会社は出勤日だが僕は休むとするかな。ちょっと休みボケするくらい今の業界から離れてみたい気分だ。