されど我らが日々

日曜はGW以来十日ぶりの休みだった。怒涛の暮れから年度末に比べれば屁でもないが、やっぱり定期的に休まないと疲れるね。この季節、空気はカラッとして過ごしやすいんだが、陽の光が強過ぎて、それが一日の終わりにボディブローのようにきいてくる。妻の冷やし系メニューに違和感がないのは、火照った身体がクールダウンしたがっているからだ。
▼さて、今となっては僕の休みを心待ちにしてくれているのは下の子だけになってしまった。日曜は妻はエアロビ、長男は部活、下の子も普段はソフトボールがあるので、僕がいなくてもあまり影響はないのだ。
▼土曜予選敗退したそのソフト、点数を聞いてひっくり返ってしまった。「一試合目は26対0、二試合目は36対0…ていうかよくわかんない」おいおい、何点とられたかもわからんのかい。下の子は続ける。「この大会に参加してるチームで○○(僕の町内)より弱いとこないってカントク言ってたよ」おいおい、それが監督の言うことか?と思ったが、下の子はケロッとしている。まあこれが子供のソフトだけどね。
▼というわけで日曜は恒例の釣りにでかけた。いつものように助手席に座ったミニミーがスルメゲソを一本ずつ手渡してくれる。かいがいしい奴だ。ゲソをしゃぶる親子を乗せた軽バンが五月の風を切って進む。寅さん以来伝統ある日本のロードムービーだ。思わず鼻唄がこぼれる。
▼今回は初めてのポイントを攻めてみた。疲れた身体にムチ打ってせっかく重い腰を上げても、ちょっと釣れないとすぐ「帰ろう」と言い出すので常に目先を変えなければならない。着いてすぐ隣の先客がホウボウを釣り上げた。何気なく仕掛けを準備しながらも期待に胸が高鳴る。さらにいい型のカレイがあがる。どうやら穴場中の穴場のようだ。
▼しかし僕らの竿には待てど暮らせどアタリひとつこない。その間に隣はもう一枚大きなカレイを釣り上げ、さらにまたホウボウと切れ目がない。昼前には持ってきたお弁当を全部食べてしまった下の子は、もう飽きてしまったようだ。「♪親孝行したい〜親孝行したい〜でもやり方が〜わから〜ない」と変な節をつけて歌っている。
▼「現在の日本において最大の親孝行は、経済的に自立することである」と、「希望格差社会」の山田先生がおっしゃっていたが、本当にその通りだと思う。個人的な不甲斐なさは別にして、現代がそのような時代であることは確かだ。
▼待ちきれずしょっちゅう巻き上げる下の子が呻いた。「おもっ」防波堤まで巻いたところでバトンタッチ。ごぼう抜きに引っこ抜くと、平たくて茶色い生き物が地べたに落ちた。すわカレイかと駆け寄ると、エイの子供だった。下の子は黙ったままじっと見ている。これは大量にカードを売りに行って値がつかなかった時のあの顔だ。大人であれば呆然自失とでもいうのだろうか。
▼うちに帰って夕食をとると、疲れからいつのまにか眠ってしまっていた。夜中に目が覚めると、もう誰も起きていない。仕方ないから布団に入ってまた寝た。下の子は満足しただろうか。こんなことが、あと何回続くのだろう。

竿立てて五月の空にエイが舞う

▼エントリタイトルの柴田翔の青春小説を、僕は高校の時に読んだはずだが、中身は例によって忘れてしまった。この小説で僕が思い出すのは、上京一年目の心細さから、下落合の先輩の下宿を訪ねては、近所のおでん屋に飲みに行ったことだ。
▼先輩がいたく気に入っていた小説だが、本屋の息子で書店でバイトしていた先輩から、読書で薫陶を受けた記憶はない。代わりに先輩から教えてもらったのは、裏ビデオと膨大なマンガとサワーの味だ。あのカープファンのおやじが作るサワーはうまかった。
▼僕はその時生まれて初めて広島ファンを目の当たりにし、サワーを口にしたのだ。背伸びはしていても、いろんな意味でまだまだ童貞だった。寂しくてたまらないはずなのに、親の顔など一瞬も思い出さなかった頃のことだ。あと三年もすれば上の子もそういう年になる。

さて日曜日のウチゴハン劇場はガーリックトーストから。

続いて冷奴。薬味がたくさんあるとうれしいね。

そして本日のサラダはゴボウサラダなのだった。もちろんガーリックトーストにのっけてカナッペ風にしたよ!

そしてメインはナスとトマトのパスタ。
翌16日は牛丼にサラスパ

そして今日はカレーで写真はなし。毎日夕食前の写真取りで上へ下への大騒ぎになるので、さすがに妻がキレてしまった。