お金を渡して追いかけてまで返す人はいない

最近エントリータイトルがどんどん長くなって歯止めがきかない。これじゃまるで新聞のテレビ欄の2時間ドラマの解説だよ。ネタバレどころか中身を全部説明しちゃう勢いだ。反省。
▼さて、いつもたのんでいるガードマンさんが、旅行に行ってお土産を買ってきた。

生ワサビとワサビ漬けと鮭のハラス。そこで帰りに近所のスーパーに寄って、せっかくの新鮮なワサビに合いそうな刺身を奮発して買ってきた。

夕方のサプライズだったので、妻の手料理と共にずいぶん豪勢な夕食になった。

▼生ワサビは全然辛くなくて、恐る恐る口にしたチャレンジャー下の子も大丈夫。すりおろした直後は目に染みるほどだが、すぐに刺激が飛んで抜けてしまうので、少しずつ食べる分だけ直前におろさないといけない。〆はレシピにも書いてあったワサビ丼。熱々のご飯にシソと胡麻を合わせて醤油をほんのちょっとたらす。格別だね。
▼ガードマンさんは、もう七十過ぎのお年寄りで耳も不自由なのだが、僕は彼を指名している。理由は彼がやたらにものをくれるからだ。豪華な金品なら僕も断るし、彼も割に合わないだろう。彼がくれるのは、毎日栄養ドリンクとバナナを一本。時々ビニル袋に剥いたりんごを塩水につけてくれる。冬場にはみかん。時には箱で持ってくる。いわゆるつけ届けだ。賄賂と言ってもいい。
▼世の中の仕組みというものを、僕は社会に出て初めて知った。例えば銀行とはお金を預ける所とばかり思っていたが、むしろ貸す方が主な業務であること。あるいはデパートは僕らが好きな時に物を買いに行く場所だと思っていたが、実際は僕らパンピーの冷やかしを待つより、お金持ちのうちに御用聞きに行く外商部門の方が主たる業務であることなど。人は自分が関わっている部分しか見えないものだ。
▼ガードマンの仕組みがどうなっているのかよくは知らない。けど社会に出る前の僕なら、他の多くの職種と同じように、登録さえすれば公平に順番に仕事を回されるものと思っただろう。要は派遣の一形態だ。
▼景気がよくて、登録する人より仕事の方が多ければそうかもしれない。だが今のようなご時世では、登録するだけでは仕事は回ってこない。頼む方は9割方は指名をする。仕事そのものを一生懸命やるのは当然だが、声をかけてもらう努力にはいろんな方法があるだろう。
▼これはあらゆる職業で言えることだが、全ては呼ばれてナンボ、置屋の芸者である。そして世の中は実力や能力だけが全てではない。芸者が容姿と芸だけで決まらないのと同じだ。むしろ寝技の方が重要だろう。それをキタナイ、ズルイと感じる人もいるかもしれないが、そういう人は幸せだと思う。
▼僕もこれまでずいぶんいろんな職についてきたが、大半は縁故による。そして縁故によらないものにロクなものはなかった。これもキタナイ、ズルイというよりは、「知ってる人と知らない人のどっちがいいか?」という単純な話なのだ。
▼タイトルは言わずと知れた小沢一郎語録。実際世の中はコネとカネだ。少なくとも市民運動家出身の菅さんより小沢さんの方が世間をよく知っていると思う。いかん、前回の戒めをもう破っちゃったよ。政治経済、というか世の中について語らないというのは禁酒禁煙より難しいものだなあ。