子どもの世界


ワサビ強化週間特別メニューということで、昨夜のメインは冷たいお蕎麦。あくまでワサビが主役なので、他の薬味は刻んだネギとダイコンおろしに納豆と最小限に抑えた。でもないか。蕎麦が茹で上がるのを待つ間、ガーリストークの明太マヨ味とカボチャとキャベツのサラダで第三のビールをやる。

「ガーリストーク」とは、ガーリックトースト幼児語。やっぱりビールのお供にはガールズトークが最高だね。ちがうか。
▼我が家では子どもたちが小さい頃やっと言えたマチガイ言葉が可愛いので、訂正せずそのまま使っている。心配ご無用。子どもの人間関係は親だけじゃない。成長するに従ってじきに正しい言葉を覚え、別に訂正する必要のない「パパママ」だって、恥ずかしがってすぐ使わなくなる。
幼児語には「カルスピ」など、単に舌足らずで微妙に音の並びが違うマチガイもあるが、興味深いのは子どもの思考形態の一端をうかがわせる特徴的なマチガイである。
例えばうちの子たちは蚊のことを「カガ」とか「カニ」と言っていたが、みなさんのところはどうだろう。
▼幼児が夏になると肌を刺してかゆくする不快な小動物を、それと認知するのは早いと思う。パパとママも「蚊がいる!」「蚊にさされた!」とよくさわいでいる。それでうちの子たちは、かなり早い段階から「カガがいる」「カニにさされた」と僕らによく訴えていた。
▼このことから考えられるのは、幼児は助詞の使い方が定まっていないということ。それと事物と名称が必ずしも一対一で対応していないということだ。子どもにとって「カ」という一音より「カガ」または「カニ」という二音の方が言いやすいことは容易に想像できる。少なくともうちの子どもたちにとって、あの小さな刺す虫は、ある時期まで「カガ」でもあり「カニ」でもあった。
▼もうひとつ例をあげるとすれば、うちの下の子はかなり大きくなるまで子ども部屋のことを「ムコウヘヤ」と言っていた。間取り3Kの社宅で、パパとママがいつもいる居間から見て子ども部屋は「向こうの方」にあった。「カバンを向こうの部屋に置いてきなさい」下の子にとって「向こうの部屋」は、指示詞「向こう」+助詞「の」+名詞「部屋」ではなく、「ムコウヘヤ」というひとつの単語だったのだ。
▼他にもいろいろ「おもしろいな」と思ったことはたくさんあったがほとんど忘れてしまった。もったいない。記録しておけばよかった。子どもたちも高1と小6になって、上にあげたような言いマチガイをすることはさすがにもうないが、それでも子どもの感情世界の一端をうかがい知ることができるエピソードは多い。
▼例えば今年の初めから春頃まで、今まで全然そんなことなかったのに、下の子が急に宿題をきいてくるようになった。受験期の上の子を傍で見ていて、勉強ができないとたいへんなことになるという危機感を一時的に抱いたようだ。上の子の高校生活が軌道に乗った最近は、またいつものやんちゃな子どもに戻ってしまったが。
▼なんにしろ、子どもらしさというのは微笑ましいものだ。

今夜のウチゴハンはダイコンの煮つけに焼き餃子。今日の「ガーリストーク」はチーズ野菜のせ。キンピラとブロッコリーの二種。煮物は肉厚の干しシイタケのみで肉類はなしのダイエットメニュー。澄んだ煮汁には脂の玉がいっさい浮いてなかった。「アブラ=ウマミ」が持論の僕も大満足の健康メニューでした。感謝感謝。