おひとりさまの時代の家族の肖像

花腐し昨日の雨が降りやまず

梅雨真っ盛りだ。細かい雨がしとしと降り止まないような梅雨のことをオンナ梅雨といい、土砂降りの雨がどっときてさっと止むような梅雨のことをオトコ梅雨というそうだ。でも長崎や熊本、鹿児島あたりじゃ毎年土砂降りがずっと続くよね。男でも女でもないオネエ梅雨とでも命名したら被害にあった人たちが怒るかな。
有機農法ってわけじゃないだろうが、田植が終わったたんぼに鴨の姿をよく見かける。まとまった雨が降ったので、先日冠水対策でドブさらいした事業所の様子を見に行くと、隣のたんぼに五匹の鴨の姿を見ることができた。みな同じサイズで親がも子がもって感じでもなかったが、仲良く列んで行動している。ついていくのが鴨の習性なのかもしれない。
▼うちの近くのたんぼの鴨は単独行動だが、代わりに下の子が後をついていく姿がよく目撃される。動物を見るとつい追いかけてしまうのが下の子の習性だ。

道端の鴨を追う子に目を細め

▼ひとたびたんぼに植わった苗の成長の速さは、音が聞こえるほどだ。植えられた直後は疎らで頼りなかった苗が、今はもう韮のようだ。あとは水をたやさないようにして、ただ見守るのみである。子育てに実によく似ている。
▼草木が音をたてて成長し、追いかけていた子供がいつのまにか鴨の背中に乗っている。急速に遠近感が失われ、ぐるぐると目が回るるような瞬間は誰にでもあるものだ。その錯覚を錯覚と思わずに定着した者だけが、童話作家になれるってわけだ。
▼本日開店の洋菓子店に寄って焼き菓子を買った。店の名前はフランス語で「私から私へ」。「私から貴方へ」のまちがいじゃないの?と妻に言うと、「自分へのご褒美ってことじゃないかしら」との返事。なるほど、主たる客層はおひとりさまなんだ。妻は仏語はできないが、僕よりセンスがあることはまちがいない。
▼そんなセンス抜群の妻の手料理劇場。昨日のツマミはそら豆とヤッコとトマトのプレートにカツオのタタキ。カツオは土佐と焼津が有名だが、静岡の方ではカツオは皮付きの刺身をニンニク醤油で食べる。タタキを薬味で見えないくらいにしてポン酢で食すのは土佐造り。

そしてメインは豚丼。温泉タマゴ、キムチ、焼きカボチャと随分にぎやかだ。
今日はカルボナーラとネギマヨのスパ二種にひじきガーリストーク。ひじきとパンて意外と合うんだな。この組み合わせを「アメリカひじき」と名付けよう。

写真にはないけれど、これにもう一品じゃがバターもあった。下の階のおひとりさまの奥さんがくれたのだ。とにかくいろんな人がいろんなものをくれる。以前住んでいた団地でも同じような現象が起きていた。どうも僕たち家族は人を呼ぶみたいだ。それは僕らが基本的に明るいからだろう。いろんな意味で幸せだね。