テレビ的喧噪から遠く離れて

もうすっかり梅雨も明けたと思ってたら、ご丁寧に七夕だけ思い出したようにさんざん降りちらかしてさっさと明けてしまった。僕の記憶では七夕は晴れたためしがない。織姫も彦星もよっぽど行いが悪いんだな。
▼その七夕の木曜が祝百?店目スペシャルだった「とんねるずのみなさん〜」のキタナトラン。いきなり東京自由人さんに頻出する「庚申酒場」が登場してびっくり。自由人さんのへべれけレポートではイマイチはっきりしなかった店内に、テレビ初潜入ということで期待は膨らむがすぐ萎む。
▼オカアサンはとってもキュートなのに、店内のしらじらしいことといったら…お昼のロケというだけでは説明できないシラケぶりだ。それは失礼だが、とんねるずご一行のおふざけが、この店に相応しくない雰囲気を持ち込んだからとしか言いようがない。
▼このキタナトラン、番組としてはおもしろいんだが、テレビが取り上げることによって、その店が「そこにしかない店」から「どこにでもある店」になってしまうような気がするのは僕だけだろうか。それは単に「とっておきの店」が「誰でも知ってる店」に変わっただけなのだから、独自性というのは基本的に万人の支持と相容れない性格のものなのかもしれない。
▼さて庚申酒場だが「メニューはカレーとおでんだけ」と言いつつ、おもむろにおおぶりの焼鳥を炭火で焼き始めたりして、他にも隠し玉がありそう。自由人さんももっといろいろ食べてる気がする。きっとそれは、とんねるずと違ってオカアサンのペースをちゃんと守ってくれる常連さんにしか見えない、テレビには映らない品なのだ。
▼三軒目のシモキタの「らぶきょう」もそそられるものがあった。店の女主人が魅力的で、もし僕が今東京に住んでいて独身だったなら、間違いなくあらぬ妄想を抱いて通いつめていただろう。アブナイアブナイ。あの小路、今から行列ができないか心配だ。って僕の心配することじゃないね。
▼しかしどうしてこんなに彼女に惹かれるんだろう。初めて見た気がしない。と思いながらガン見してたら、途中タイカレー屋台なのに秋田のいぶりがっこが出てきて納得。そういえばどことなく20年前の僕のマドンナの面影がある。やっぱり秋田美人はいいなあ。
▼ところでマセラッティと呼ばれていたディレクターといい、らぶきょうの新らしい店をお台場に出してやれとからかわれてすっかりその気になってたプロデューサーといい、Nスペやクロ現を作ってる僕の友人とは随分やってることが違うように見えるけど、これはNHKと民放の差なのかな、それとも報道とバラエティーの差なのかな。
▼大物タレントとんねるずのロケに帯同する彼らの主たる仕事は、言うなれば大作家先生のご機嫌をうかがう編集者に近いのかもしれない。しかし行く先々で彼らが働く傍若無人な乱暴狼藉ぶりはどうだ。見ているこっちがハラハラしてしまうが、ちゃんとカメラは回っているのだね。よくも悪くも最もテレビ的なタレントと言えるだろう。

さて、水曜は久しぶり、でもないが家族でソトメシ。小雨の降りしきる中、以前紹介した近所の盛りのいい蕎麦屋へ。僕はカツカレー、妻は前回と同じく野菜天の冷やしぶっかけ。前回ソバだったので今回はウドンで。子供たちには中華定食を強く推薦しておいた。


ところが食いしん坊の下の子にしてはめずらしく食が進まない。急にサシコミがきて、ほどなく治った。翌日学校に行くと放送があって、その時間にクラスメートが亡くなったという。虫の知らせに涙雨。そういうことは確かにあると、最近トミにそう思う。
お別れにそばで囁く催涙雨
合掌