盂蘭盆会

僕の住んでいる地域では七月の十三、十四、十五がお盆だ。特に初盆は大切な行事で、親戚や親しい知己というわけでなくとも、ご近所で誘い合わせて近隣の初盆のお宅を訪ねる。帰り道は取引先の盆ぎりに急ぐ車で渋滞する。喪服を着たお年寄りを数多く見かける。玄関口や庭先で迎え火や送り火を焚いている家を目にする。
▼普通よりひと月早いと思われるかもしれないが、梵語ウランバナ由来といわれる盂蘭盆会は7月15日が正しい。八月のお盆は「月遅れ」と言う。なぜ月遅れがポピュラーになったかというと、旧暦だとちょうどそのくらいにあたるからか。あるいは学校や会社のお休みや、三百万人からの犠牲者を出した先の大戦終戦記念日に引きずられたのかもしれない。
▼僕も14日の日に、お父さまを亡くされた担当ゼネコンの部長宅とお母さまを亡くされた担当企業の担当者宅を訪ねた。法事がたいへんなのは、会社の志を預かるだけではすまないことである。面識のある人のところに行って会社の封筒だけ置いて帰ってきたとしたら、それは単なる「ガキの使い」だ。だが会社の志自体領収書のない「志」なのである。まして僕の分などそれこそ個人的な「志」以外のものではない。
▼その辺のことを酌んでくれてかどうか定かでないが、部長が帰り際に自分で作ったという夏野菜を持たせてくれた。

彼岸より此岸を結ぶお盆かな

送ってくれた妻と、帰りにスーパーに寄ってアテを買い込み、風呂を浴びるのももどかしく晩酌に突入する。

枝豆と酢鳥に、写真には写っていないがペッパーチキン。もうこれだけで軽く二本はいける。さらに妻の手作りはジャガ芋サラダにおろしうどん。


おろしうどんはメカブとネギとオオバと天かすが入って賑々しい。やっぱり僕はウチゴハンの方がいいや。
▼そして今日のメインは部長に頂いた茄子を使ったトマトパスタ。

ありがたや、ありがたや。