生まれつき

新内閣の顔ぶれが固まった。内外に課題が山積する中での多難な船出だが、いつの世も課題のない時代なんてなかったはずだ。いやいや東北大震災と福島原発事故がある今回は特別だという人もいるかもしれないが、敗戦時の国家存亡の危機に比べればまだマシな方だろう。なんにしろ新鮮な顔ぶれは人の心をリフレッシュさせてくれるね。やっぱり新しい葡萄酒は新しい革袋に入れなければ。
▼さて、先日SAS(睡眠時無呼吸症候群)の検査で二晩ほど入院してきた。自分がSASであることはずっと以前からわかっていたことだし、そんなものは個体差の範囲内で病気のうちに入らない。たぶん日本の男性の三分の一くらいは隠れSASで夜中に息が止まっているはずだ。それが検査入院する羽目になったのは理由があるが、長くもなるし面白くもないのでやめておく。いずれにしろたいしたことじゃない。金をドブに捨てるようなもんだ。ああもったいない。まあいい経験をしたと考えて前向きに捉えよう。
▼二晩がかりの検査はたいへんだった。一時間もかけて身体中とパソコンをコードで繋ぐ。完成したら途中ではずれないように頭からネットを被り、目と鼻と口と耳にハサミを入れる。療法士の中年男は機械的に作業を進めるが、窓に映る姿は犯罪者だ。ちょっと看護婦さんに見せられる恰好じゃない。二日目はさらに治療用のマスクも装着する。マスクには管がついていて、コンプレッサーから空気が送り込まれる。これで眠れる人いるのかな。僕はしっかり眠れたけどね。二日とも重症のSAS患者として満点のデータがとれましたと褒められちゃったよ。
▼一日目は15時に病院に来るように言われていた。ひとわたり説明があり、書き物と体温、血圧、身長、体重などの簡単な測定が終わると17時。18時に夕食、19時から一時間かけて装置をセットして21時消灯を目指して眠るので装着前にシャワーを浴びるように言われると、もう分刻みのスケジュールだ。15時の入院から21時の消灯まで6時間もあると思って持ち込んだ本もほとんど読めなかった。こんなことしてたら一日があっという間に過ぎてしまう。病院は人間から時間を奪うシステムだな。ベッドにコードで繋がれた身の上といい、気分は「カッコーの巣の上で」だ。

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▼SASなんかより気になったのは体重が93キロもあったこと。ここ数年、人から体重をきかれたら「90キロ」と答えるようにしていた。実際には90切ってるけど、めんどくさいのでサバ読んで切り上げてたつもりだったが超えてたんだね。そういやここ三年くらいで会社から支給されるズボンがワンサイズあがった上にきつくなったので確実に肥ったとは感じてたけど、これほどとは。SASよりよっぽど怖いよ。
▼さて昨夜は台風で二人とも早めの帰宅となった子供たちとテレビ桟敷でスポーツ観戦。ドラえもんの後は世界陸上と嵐の中のワールドカップアジア予選をいったりきたり。日本の苦戦の原因は、北朝鮮+台風と戦ってたようなもんだからね。悪条件なら先進国より第三世界が有利だろう。足が速い人が気になって仕方ない下の子は、ここんとこずっと世界陸上にかぶりつきだ。今のところボルトに勝ったのはドラえもんしかいない。
▼しかしそれにしても黒人の強さは群を抜いている。個人競技じゃまるで勝てるような気がしない。日本人がよく「体格で劣るから組織力で」なんて言われ方をするけど、それは白人もいっしょ。黒人以外はもう団体戦とか球技とかルールを複雑にして小器用に頑張るしかないね。純粋な身体能力を競う陸上競技だとその差は誤魔化しようがない。下の子を魅了してやまないのも、きっとそんな誤魔化しようのない何かなんだろうな。

昨夜のウチゴハンは、コケコーラ(鶏のコーラ煮)。身が軟らかくなって南の国ではポピュラーな調理方らしい。ネーミングも素晴らしい。