月はどっちに出ている

今日は仲秋の名月。六年ぶりの満月だそうである。月の満ち欠けは人間の身体にも影響を及ぼすらしい。妻は「頭が痛い」と言うし、興奮した下の子は「ちょっと走ってくる」と言って外に飛び出していってしまった。僕らの目の届かないところで狼にでも変身しているかもしれないね。
それぞれに思うことある月見かな
▼さて、ウイークデーはやめている第三のビール。もともとおいしくなかったけど、たまに飲んでもやっぱりおいしくない。ホントにイオンのPBは煮ても焼いても食えないな。週末くらいちょっと贅沢して普通のビールにしてみようかしら。僕はどちらかというと口に入ればなんでもいい方だが、もういい大人なんだから少しは選ばなくちゃ。
▼それというのも先週末訪れたナチュラルフードレストラン。接客については少々苦言を呈したが、買って帰った大鹿村のトマトがとにかくうまかった。

土曜のカレーは健康志向でトマト缶ベース。普通ならオカワリするところだが、子供たちもよくわかったもので、サラダの大鹿村のトマトばかりに手が伸びてカレーが進まない。長男などは残していた。

日曜のキッシュも、今までのものがなんだったのかと思うほどウマイ。本当においしいものは食べ比べてみなくてもわかるね。これで大鹿村のトマトはオシマイ。

そして月曜は豚の紫蘇チーズサンドとチキンの生姜焼き。つけあわせのトマトは近所のスーパーのもの。試すつもりはなかったが、違いのわかるオトコ長男の皿に、たまたま前日までの大鹿村産のものに似た色の濃い玉がいった。だが一口食べたとたん「あ」と言ったきり固まってしまった。
▼日曜は震災半年の特番だらけだったが、TOKIODASH村が一番よかった。元々いい企画なんだけど、今回は特によかった。福島第一原発北西30km圏内に位置する浪江町DASH村に、震災後初めてカメラが入る。ガイガーカウンターは軒並み毎時10マイクロシーベルトを軽く超える。そこにチェルノブイリ放射性物質の吸着効果があったヒマワリの種を植える。
▼まだ実験段階だし、今度は放射性物質を取り込んだヒマワリ自体をどう処分するかという課題が出てくる。気の遠くなるような話だ。だが誰も廃村にしようとは言わない。たかがアイドルのバラエテイ番組の企画で生まれた村でさえ見捨てるには忍びないのだ。
▼水質調査をしようとしたら、井戸に蜜蜂が分蜂していた。元々自生しているヒマワリが花を咲かせている。その中をものものしい防護服をつけた一団が緩慢に動いている。一瞬ロシアの農村と錯覚した。ここはチェルノブイリとどう違うのだろう?全く同じ事態が起こっているのではないか?
▼僕たちのやらなければならないことも、こういうことなのかもしれない。利便性を捨て、大鹿村DASH村で汗をかく。コストは倍かかるが、せめて美味しくて身体にいいものを口にするよう心がける。そのためには、多少のマナーの悪さには目をつむるべきなのかもしれない。