雨の日はタイムスリップ

この時期天候を読み誤ると大変なことになる。期待した雨は金曜の夜サッと降っただけで、土日月と快晴。昨日は炎天下に子どものソフトの審判を二試合やって、皮膚が露出している部分が真っ赤になってしまった。帰宅して両の腕にアイスノンをあてるも、熱りはおさまらない。こりゃ軽いやけどだな。今日は敬老の日だけど今みたいに変動制になる前は九月の十五日だった。お年寄りにはまだちょっとこたえる季節だね。
▼「美容院が夕方からの予約だからちょっと遅くなるかも」と妻が言うので、土曜は仕事帰りに久しぶりに本屋に立ち寄る。以前から気になっていた「年収100万円の豊かな節約生活」と小林信彦の週間文春連載コラム「本音を申せば」の文庫版の二冊を購入。

年収100万円の豊かな節約生活

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映画×東京とっておき雑学ノート 本音を申せば4 (文春文庫)

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ルンルン気分で一足先に帰宅すると、続いて妻が帰ってくる。パーマをかけた妻はまるでヘップバーンのようだ。と書くと語弊があるが、表情だけなら「ローマの休日」の髪を切ったばかりのアン王女のようにキラキラと輝いている。何がそんなにうれしいのか理解に苦しむが、女はこうでなくちゃね。
▼と、ここまで書いたところで外は雨が降り出したようだ。東向きの窓ガラスが見る間に水滴に覆われてゆく。風がびょーびょーと唸り声をあげる。21年前の今日もこんな嵐の夜だった。僕はひと月も前にフラれた彼女に性懲りもなく電話をかけ、留守電のテープに向かって、やっとのことで「誕生日おめでとう」とだけ絞り出した。きっと直前までとてつもなく暑い日が続いていたせいで、彼女と最後に会った夏の日からまだそんなに時間がたっていないと勘違いしたんだな。
▼翌日彼女は情にほだされたような声で電話をかけてきたが、数日後にまた、差出人の住所のない一枚の絵はがきをよこした。「もう、秋ですね」僕は最後の一文から目が離れなかった。脈絡もなく、不意に太宰治の「女生徒」のエンディングが頭に浮かんだ。うろ覚えで恐縮だが、たしかそれは次のようなものではなかっただろうか。「あなた、わたしが東京のどこにいるかご存じ?もう再びお目にかかりません」
▼さて、アルコール解禁のホリデーのウチゴハン。まずはソフトの審判の日当としていただいたお弁当のおかずをアテに第三のビールをたらふく飲む。

メインはキノコ嫌いの長男が合宿で不在なのを見計らってキノコたっぷりパスタ。

デザートはいつものヨーグルトアイスがメロン入りだったのだ!

そして今日は新しくできたスーパーのお惣菜の天ぷらがおいしそうなので買ってみたが失敗。となりの小皿は豚肉とチンゲンサイ炒め。

カニカマとトマトとゆで卵のサラダはカニカマがトマトの水分を吸ってしっとりとカニの食感になっていた。

合宿から帰ってきた長男のために、今夜も長男専用特別メニューは糸よりの煮付け。

窓を打つ雨滴の音や遠い夏
一葉の絵はがき運ぶ秋の風