妻訓「男はマクロ語るべからず」

世界に広がる反格差社会デモについて、僕が尊敬する人気ブロガー女史も最新のエントリーで取り上げている。女史によれば現在見られるデモは、本質的には自分たちの先進国既得権を守るためのものらしい。グローバリゼーションはこれまで国と国の間にあった格差を、急激に個人と個人の間に置き換えつつある。今デモってる人たちは、その既得権を失いつつある人たちなのだと。
▼「なるほどなあ、僕のサブマリン考なんかと違ってキレがあるよ」と、ナイーブな僕なんかは口をポカンとあけて感心するしかないが、念のためコメントを確認すると、意外に女史に否定的な意見が多い。それに人気ブロガーがいくら人気でも、単行本の宣伝なんかの時はブクマが全く伸びないのに、この手のエントリーにはたちまち過剰な反応が返ってくるところをみると、これが先進国既得権者を刺激する非常にデリケートな問題であることがわかる。
▼女史に対する批判の多くは「もっと下を見ろ的論理は現状の格差を補強するだけ」というものだが、女史のエントリーをよく読めば的外れな指摘であることがわかる。それから女史は以前から「細部の辻褄を合わせるより極論を言うことで本質の理解を助けることが目標」と公言しているので、整合性を問うのはあまり意味のあることではない。
▼その中で「特に過激なことを言ってるわけでもないのに、何がみんなの琴線に触れたんだろう」というlaw氏の感想と、takeishi氏の「デモの性格がそういうものなら、東京のデモは団塊以降の世代が中心じゃなきゃおかしい。それにウオール街とギリシャのデモをいっしょにはできんだろ」という意見が冷静だった。
▼ウオール街のデモ隊は「1%の富裕層に世界中の富が集中している」という。しかし直観的に、先ごろ亡くなったアップルのスチィーブジョブズ氏みたいな人は、アップルという組織の中でも1%にも満たないだろうし、報酬が会社への貢献度に比例するものであるなら、彼のような人物に集中して当然だと思える。ましてやその行為が社会全体のイノベーションに資するものであるならなおさらだ。
▼国家間の格差が解消されれば、個人間の差異は世界人口平均になる。つまりは分母が70億になるわけだ。生活水準は最も人口の多い層に引っ張られて落ち着く。ジョブズ氏のようなキラ星を除いて、誰もその磁場から逃れることはできない。普通の人なら絶望するところだが、妻なら「じゃあほかならぬこの私のためにジョブズ氏をめざしてよ」と言うだろう。
▼そんな妻が鼻唄交じりに作る今夜のウチゴハン酢鶏に焼き餃子。

酢鶏はバイト先でもらった市販のカラアゲをおいしく食べるために妻が工夫した一品。もう一品ポテトサラダを作ったらしいが、出すのを忘れたらしい。冷蔵庫で一晩眠って明日お目見えする予定。

デザートはレーズン入りベイクドチーズケーキ。もちろん妻のお手製である。絶品。ワンホールがあっという間になくなった。女としては最高の出来だ。