それぞれの家庭で

明けましておめでとうございます。本年もボクログをどうぞご贔屓に。さて、ここ数年は大晦日を妻の実家で過ごし、元旦は朝から僕の実家でおせちを囲む習わしだ。休みがどんなに短くても、さすがに元旦だけはお休みなので、大晦日の最終に乗れば妻の実家で年越そばが食べられる。
▼実家のおせちは毎年同じところのものをとっていたが、今年は父がテレビの特集を見てセブンイレブンのものに変えた。

おせちなんてどこでも似たようなものに思えるが、大量に残ることもなく二回くらいでなくなるのは質、量ともに適当なのだろう。
年越そば、おせちと並んで楽しみなのがお雑煮だ。僕は特にお餅自体が大好きというわけでもないが、雑煮は大好物である。学生の頃偶然うどん屋で食べた力うどんが雑煮に似ていて、以来うどん屋では必ず力を注文するほどの雑煮好きなのだ。おかげで僕は年中正月のおめでたい野郎です。
▼元来小食のくせにモチキチの長男は、おせちには見向きもしない代わりに雑煮にお餅を何個も入れた上に食後にアンコロモチまで食べる。次男は雑煮という食べ方が気に入らないらしく、醤油をつけたお餅のお皿の脇に雑煮の出汁だけが入ったお椀を汁物として飲むなど、親子でそれぞれの正月の味を楽しんでいる。
▼お雑煮は餅と具と出汁の組み合わせで日本各地で特色があるのはみなさんご存知だろう。角餅丸餅焼く焼かない、澄まし汁、ブリの出汁、鶏の出汁と全国の味をそらんじるほどのマニアではないが、一度はお雑煮を訪ねる旅に出てもいいかなとは思う。
四国の出の妻の実家は牡蠣の出汁に千切りの里芋、人参、牛蒡、大根が入った具沢山のお雑煮。焼かない丸餅が入る。二日目には正月の刺身の残りのブリの切身が入り、さらに具沢山になる。
▼今年は大晦日のごちそう(蟹とホタテの北海道海の幸づくし)に混じってセンバ汁というお椀が出た。サバの切身と大根が入ってとても美味しかった。大阪の食べ物らしい。妻のお母さんのお父さんは住友に勤めていたそうで、四国と大阪は同じ関西文化圏なのだ。そのお母さんの満州の想い出話を聞くのも帰省の楽しみのひとつである。
▼一方うちのお雑煮は、鶏肉の出汁にカマボコと三つ葉が入った澄まし汁だ。

餅は焼いてあるのかわからない丸か角かもはっきりしない。母は大分の出だがこれが大分のスタンダードかどうかはわからない。ただすだちの皮が入って柑橘系のいい香りがする。
▼元旦は実家でさんざん飲み食いした後、近所の親戚の家に挨拶に行って、その後幼馴染の親友のうちに回る。両方ともおじさんは既になくなっていて、まずはお線香をあげることから始まるのだが、それもまた正月の冷たい空気と相俟って清々しい気持ちにさせてくれるのだ。
▼今年も親友は吉田類さんの「酒場放浪記」のBS録画を流してくれた。おばさんの手作りのアテをつつきながら杯を傾ける。煮込み(筑前煮、ごった煮?)黒豆、金時。金時のアンは自分の畑でとれたサツマイモだ。おばさんは煮込みに限らず具を細かく切り過ぎる。まあこれもそれぞれの家庭の味だ。
▼たらふく飲んでいるのでもうそんなには入らない。ビールと日本酒とシングルモルトを一杯ずつ飲むと僕は舟を漕ぎはじめたようだ。暗くなる前にお暇した。いい正月だ。