消費税と原発

雨の少ない時期だが、厚い雲からようやく雨滴が落ちてきた。昨日から大寒にふさわしい冷たい雨がしとしとと降り続いている。しんしんと降る大雪になっているところもあるだろう。凍結した地表はいっそう外気温を下げるという。寒さはこれからが本番だが、雨は春の兆しでもあるはずだ。
大飯原発のストレステストが物議を醸している。傍聴者の締め出しや想定基準の甘さなどいろいろ言われているが、問題はそういった手続きや内容の不備にあるのではなく、「ストレステストが停止中の原発再稼働の条件」という使われ方にある。テストが何かの前提や条件となるのであれば、それがどんなに難しいものであってもクリアする手段はいくらでもあるだろう。
菅直人前首相肝入りで導入されたいわゆる「ストレステスト」は、福島原発事故を受けて欧州各国が原発の安全性を確認するために慌てて作ったものであり、別に原発に依存する欧州の知恵から生み出された歴史あるシステムというわけではない。公約ではなく膏薬的な、いかにも前首相らしい政治手法が、本人の意図とは逆に原発再稼働のアリバイとして利用されるのは皮肉なことだ。
閑話休題。暮れに帰省した際父と政治談議をしていてたまたま消費税の話になった。「各種世論調査でも賛成反対は拮抗しているし、消費税アップの必要性については国民に認知されているのに政治家が及び腰なのは、世論調査の対象と票集めの対象が重ならないってことかな」と僕が言うと、父は「いやいや10%で打ち止めなら賛成の人も15%20%となれば反対するさ。そして実際には10%じゃ全然足りないこともわかってるんだから」と言った。確かにその通りだけど今のままじゃもっとダメじゃん。
内閣改造で岡田副総理を据え不退転の覚悟を示す野田総理だが、増税の前にまず行財政改革だとか公務員や議員定数の削減だとか前提条件の話が多すぎる。日本にはそんなに自分が苦しい思いをするなら他人も道づれじゃないと気がすまない人が多いんだろうか。僕ならそんな言い訳はいらないけどな。「今5%を今回10%にあげます。最終的には〇年に○%になります」だけでいい。
▼話は変わるが、日本人が英語が苦手なのは主語、述語…という語順の違いが大きいという説がある。結論を先に言って後から補足していく英語に対し、修飾に修飾を重ねてさんざん寄り道した挙句主語も述語も曖昧な日本語では思考回路が全く違うのだ。言語の違いはともかく僕が社長によく言われるのは「結論を先に言え。おまえの話し方はビジネスの話し方じゃない」というものだ。社長によれば結論さえ言えばそれで足りる。それでもわからないごく稀な場合だけ説明すればいい。イエスかノーかで相手は全てを理解する。なぜならまさにそれがお互いの懸案だからだ。
原発も消費税も要はやるかやらないか、それだけだ。前置きはいらない。結論だけ言えば日本のことを真剣に考えているまともな日本人なら日本の置かれている状況を全て理解するだろう。もっと言えば政治家に言われなくても既に自分で答えを出しているはずだ。グズグズしてるとまともな国民ほど日本に見切りをつけるんじゃないかな。

金曜は油で揚げないオーブンカラアゲにゴボウとニンジンのツナマヨサラダ。日曜出勤の代休を前日の土曜にとれるのがありがたい。金麦でゴキゲンの晩酌となった。