馥郁たる火夫よりミルマスカラス

ひな祭、啓蟄と時が音をたてて過ぎてゆく。冬の雨は寒さをもたらすが、春は一雨毎に気温が上がる。明日からまた三日ほど冷たい雨になるらしい。雨が上がればもう春本番だろう。三寒四温のペースで、行きつ戻りつ季節は前進していくんだね。
▼暮れから年度末にかけてはとても忙しい。現場が終わって事務処理を終え、帰宅すると9時前後。疲れきって、食事をとるとすぐに眠ってしまう。もともと朝が早い仕事がもっと早寝早起きになって、とうとう市場で働く人のようなサイクルになってしまった。早朝のブログ更新もすっかり板についてきたよ。
▼この土日はあまりの忙しさにむしゃくしゃして、ついラフロイグのクォーターカスクを衝動買いしてしまった。プレミアムビールの黒生と合わせて大奮発の大人買いだ。

ここ数か月酒場の棚の前でヨダレを垂らして逡巡しては決心がつかなかった待望の逸品だけに心躍らせて封を切った。
▼コップに注ぐ最初の一杯の音と香がシングルモルトの醍醐味だが、一口含んで首を捻る。「あれ?味がしない」数日前から妻が風邪気味だったが、どうやら移ったようだ。熱こそないもののどうも喉の調子がよくない。下痢ではないが、夜中に便通が良すぎる。完全に風邪だな。調子がよければストレートで半分くらいいってしまうところだが、鼻がきかないときに飲むのもバカらしいので早々にきりあげた。ああついてない。
▼昨日現場事務所でひとり残業していると、折につけ声をかけてくれる若い友人から電話があり思わず長電話になった。いい気分転換になった。仕事に根を詰めると知らず知らずのうちに心に余裕がなくなっていることに自分でも気づかないものだ。ここのところのブログのエントリーも仕事の話題が多い。仕事仲間と一杯やるのも今の会社に入って初めてのことだ。会社にいまひとつ溶け込めないのも腹を割って話す機会がないからだと思っていたが、考えものだな。仕事のつきあいは仕事だけでとどめておいた方がいいかもしれない。
▼俗に二足のわらじを履くというか、仕事に限らず多彩な趣味や交友関係を持つ人がいるが、僕はどちらかというと不器用な方で、ひとつの仕事の中でなら不眠不休も厭わず頑張りがきく方だが、同時にいろんなことができないタイプだ。それは精神衛生上よくないことだと思う。人間関係は広く浅くに越したことはない。表題は「酒臭い燃える男になるより千の顔を持つ男になりなさい」というくらいの題意である。敬愛する詩人西脇順三郎の詩やメキシカンスタイルのプロレス、ルチャリブレとは何の関係もありません。
▼そういえば妻も僕と正反対の典型的に交友関係が広いタイプだ。広く浅くというが、本当に浅いかどうかはわからない。親しき仲にも礼儀ありを実践することは、浅く見えてもけっこうたいへんなことかもしれない。人間関係に甘えがないからだ。

ひな祭の土曜日は春菊の白和えに菜の花の浅漬けに豚丼

日曜のラフロイグのアテはブルーチーズのクリームパスタに鳥皮酢。最高の酒に最高のアテだったが前述の通り鼻も舌もきかず残念。鳥皮は鶏料理の度に妻が少しずつためて一回分になったところで出してくれるのだ。月曜は写真なし。火曜はキッシュにきのこたっぷりパスタにデザートは妻の手作りケーキ。



全く匂い立つほどのいい女である。