分別と無分別

週間予報はずっと晴れマークなのに、夜中に突然土砂降りになったり不安定な天気が続く。雷に撃たれて亡くなった方もいる。なんとなく不穏な空気だ。そうこうするうち昼間もはっきりしない空模様になってきた。今日で五月も終わり。この次の快晴の日はきっと暑くなるだろう。もう気持ちのいい五月晴れとは来年までお別れだな。
▼さて、暑い季節になると心配なのが東北の震災がれきの悪臭である。先日、受入を表明した自治体に搬入されたがれきの中にコンクリート片が混じっていた件で、岩手県の達増知事が謝罪していた。「コンクリート片てがれきじゃないの?」「にしても県知事が謝罪会見までしなければならないことか?」おそらく普通の人は、これの何が問題なのかよく理解できないだろう。
▼知事の謝罪会見に先立って、受入先の自治体職員が現地を視察する様子が報道されていた。自治体職員が視察する間は、がれきを積み込む重機オペも運搬するトラックの運転手もお休みだ。なんだか帝政ローマ時代の行政官が植民地に視察に訪れた時の奴隷みたいだね。
▼現調の結果、積込ヤードの縁石ではないかとのこと。あまりにもバカバカしくて気にもとめなかったけど、自治体が受入を予定していたのは、例えば木くずのような一品目だけだったのかもしれない。その中に予定になかったコンクリート片が混入していた。
▼縁石とは歩道や植込を縁どっているコンクリート製品のこと。そんなものがたかだか一本混じったくらいでこんな大騒ぎになるなんて、当該自治体が引き受けた受入数量(木くず?)はよほど少なかったに違いない。だって大量に受入れるのなら縁石一本くらいどうだってよさそうなもんでしょ。(皮肉)
▼住民エゴを乗り越えてようやく始まったばかりの震災がれきの搬出作業が、この騒動でストップしてしまった。「混ぜればゴミ、分ければ資源」の標語通り、分別が環境にとって大事なのは誰でもわかる。けど人としてもっと大事な分別があるんじゃないの?わざわざ東北まで視察に行った自治体職員は自分のやってることのくだらなさ加減に嫌気がささないのかな。公費を使って復興事業の手を止めるのなら、せめて出張経費は返還してもらいたい。
▼こんなくだらない仕事をするために恒久的に高給が保障された膨大な数の公務員が囲われてるんだから、税金なんていくら集めたって足りっこない。マスコミも片山さつきも芸人の親族の生活保護受給をたたくなら、公務員の労働実態に見合わない法外な高給を問題にしろよな。実際ある意味公務員=生活保護受給者みたいなもんだろ。みんな言いやすい人にしか言わないんだから。ただの弱い物イジメだ。
▼東北6県で1680万トンと言われる震災がれき。数字を聞いただけではそれが具体的にはどれくらいの量なのかピンとこないだろう。大型ダンプ168万杯分。僕はついこのあいだも掘削した土を1万トン搬出するのに、大型ダンプを1日6台平均使ってひと月近くかかった。残土処分場から1時間以内の現場だったので1日8回くらい往復することができたが、県外搬出なら行先にもよるがよくて日に2往復、普通は1日1便だろう。仮に東北全体で毎日千台のダンプをかけて搬出しても5年はかかる計算だ。
▼震災から早や一年以上が過ぎた。一年たたないうちに、散乱したがれきはきれいに片付けられ、集積された。そして今もそのままだ。東北を定期的に訪れている担当者の話では、それから景色は全く変わっていないという。おそらく一年後も変わらないだろう。三年たってもそのままだろう。五年後も野ざらしのがれきの山は残っているだろう。なぜなら震災以前から、東北は日本のゴミ集積場だったからだ。どこかに持っていくったって、九州か、北海道か、きっとやっぱり東北みたいなところに持っていくしかないんだね。

月曜はチキンのトマトソースにサラスパ。

火曜はトンドンにジャガサラ。


水曜は餃子にスパゲチーボロネーゼ。