自分を、プロデュース。

曇り空の割に意外に雨が少ないのが梅雨だが、予報では今日からずらっと傘が並んでいる。昼頃から急速に雲が厚くなり、夕方にはポツポツ雨が落ち始めた。最近の天気予報はよくあたる。妻がホタルを見に行きたがっていたが、先延ばしにしているうちに機会を逸してしまったな。
▼さて、巷では松田聖子の三度目の結婚の話題でもちきりである。元おニャン子国生さゆりが「私たちの世代のカリスマ。女性はみんな彼女に憧れていると思う」とコメントしていたが、きっとその通りなんだろう。今でこそ多少ふっくらしているが、デヴュー当時はトリガラのような、この久留米の田舎娘がスターダムを駆け上ることができたのはなぜだろう。
▼思えばアイドルにもいろんな人生があるもんだ。スチュワーデス物語で一世を風靡した堀ちえみも先ごろ三度目の結婚に踏み切ったばかりだが、子連れバツ3同士で都合7人の子の母になる彼女の場合、同じ再再婚でも醸し出すテイストは全く別物だ。ルックスも年相応の大阪のオバちゃんで、ドジでのろまな亀だった頃の面影はもはやない。
▼一方で薬丸婦人として家庭に入り、五人の子どもを産んだ石川秀美のような生き方もある。最近夫婦でCMに露出する機会が増えているが、これは芸能界復帰どうのというより内助の功以外の何物でもないだろう。その意味であまたの夫婦タレントとは一線を画している。このタイプは水谷豊伊藤蘭夫妻や三浦友和山口百恵夫妻のように、我々より上の世代に多い。
松田聖子と当時の人気を二分した歌姫中森明菜は、マッチとの恋に破れ今や廃人同然だ。初恋の男にフラれた事実を一生引きずるというのは、宮沢りえ華原朋美においても見られる恋愛パターンだが、人生でただ一度の失敗も許せないというのは、よほどプライドが高いんだろう。折に触れそこに立ち戻らざるをえない彼女たちの時間は、何十年たっても止まったままだ。
▼特にスタイルがいいわけでもない。特に歌がうまいわけでもない。元々持っているものはたいしたことなくても、人生のそれぞれのステージでやりたいことをやり(渡米してハリウッド映画に出演!)、結婚出産も経験し、年を重ねるごとに美しくなっていく松田聖子の生き方は、そのまま女性の憧れの生き方でもある。
▼偶然にも元カレの郷ひろみも再再婚したばかりだが、二人の人生の軌跡は実によく似ている。どちらも芸能界の大物との初婚で箔をつけ、パートナーを踏み台にして大きくなるとカゴを飛び出し、今度は自分の言うことをきく格下と再婚するも物足りずすぐに離婚、しばらく独身を謳歌しつつじっくり後半生の伴侶を探す。似た者同士の二人の間には、互いにビッグになることを誓い合った涙の別離のドラマがあったことは想像に難くない。
▼今やサッカーの枠を超えた国際的スター中田英俊を「自分を天才に見せる天才」と評した人がいたが、成功する人の条件はどんなジャンルも共通だ。セルフプロデュースに長けているかどうか。聖子ちゃんクラスになればもちろん有能なブレインやスーパーバイザーもいるだろうが、演じるのは本人。最終的には本人の自覚次第だ。他人に自分をどう見せるか。真のプロとはイメージした戦略通りに行動できる人のことである。
▼年をとるごとに美しくなることにかけては松田聖子にひけをとらない妻のウチゴハンは昨日がスパニッシュオムレツにマカロニサラダ。

今日は根野菜サラダにピーマンの肉詰。


セルフプロデュースが苦手な僕は、最高の妻をプロデュースしているのさ。