目の前の合コン<美しい想い出<妻

先週は台風に振り回された一週間だった。火曜夜半に通過した4号。強烈な吹き返しに工場の屋根が飛び、翌水曜は緊急片付&応急シート張り。追い打ちの5号が転じた熱低は、金曜早朝がピーク。その日は別件の夜間工事があり深夜0時まで。疲れ過ぎて眠れず土曜も定時まで働いてそのまま合コンに突入した。
▼年増幹事を除いて全員がドタキャンだった前回合コンから約二か月。やってきたのはこの会では割とマトモな女性とその友人とその妹。いつもの年増幹事はバイトで早々に退席。マトモな女性も一次会で帰宅して、二次会は姉妹のみの女性陣は実質2.5名。対する男性陣は、常連四人組に二次会から合流の不定期1名を加えた計5名。
▼二次会に前回利用した元合コンメンバーがバイトしてるスナックに流れたものの、男女比のアンバランスは明白で、男性二人は早々に帰ってしまった。前回のリベンジでこのレベルでは、このパーティ―の女性の人材不足はかなり深刻である。
▼笑えたのは当初同窓会ということで欠席だったはずの1名が、偶然同じ居酒屋の別卓で3対2の合コン(あとでよくきくとナンパ)中だったこと。お勘定まで偶然いっしょになったので、店の外でみんながそろうのを待つ間、お相手の女性をガン見してしまった。ひとりはまあまあ、ひとりはドブス。まあそんなもんだろう。
▼年をとればとるほど、こんなことしても全然楽しくないという思いが強くなる。実際いつまでもこんなことしてるのはバブル世代か土建屋くらいのもんだろう。男性陣は全員この両方に当てはまる。女性参加者のプロフの詳細は、個人情報保護法の観点から差し控える。それより同僚の初恋の想い出話に触発されて、僕も小学校の頃のことを思い出した。
▼誰でも小さい頃スカートめくりをしたことがあるだろう。僕なんか幼稚園の先生のスカートをめくって手をつねられた記憶があるくらいだ。先生マジギレしてたな。大人げない。それはともかくバス通学だった小学4年当時は、それはもうスカートめくりが大流行していた。ある日いつものようにバス停でスカートめくりをした僕は、クラスメイトの女の子にケガをさせてしまう。
▼逃げようとして側溝に足をとられた彼女は、大腿骨を骨折する大けがを負った。母親につれられて、彼女の家に菓子折を持って謝りに行った。おとなしい彼女のはにかんだような顔を今でも覚えている。それからほどなくして転校した僕に、彼女は葉書をよこした。引っ越し先の住所を教えたつもりも、会話を交わした記憶すらない。それなのにその葉書には、びっくりするほど大人びた、きれいな文字がしたためられていた。
▼そこからさらに二つの記憶が呼び覚まされる。やはり僕のランダムなスカートめくりの標的だった吹奏楽部の一年先輩からは、かなり長文の手紙を何通かもらった。そのうち一通にはペンダントのようなものが入っていた。返事も出さずに放っていると、「わたしのことどう思っているのですか?」というような、かなり核心に迫る文章も混じった。彼女は背の高い美人で、学校のリーダー的存在だったのに、ちょっと意外な気がした。
▼もうひとつはエロ本の編集をしていた時。占いコーナーの原稿を書いてくれていた渋谷の占い師の、ケガをした同僚のお見舞いについていった時のこと。大腿骨を骨折した車椅子の彼女は、僕に見られるのを恥ずかしがっているような印象を受けた。彼女は年齢不詳の魔女の館の中では、一番若い人間の女性に身をやつしており、薄暗い不健康な職場には不釣り合いな健康的な肉体の持ち主だった。
▼退院した彼女が僕にお見舞いのお礼がしたいらしいと、自称三千歳の方の魔女から何度もきいていたのだが、忙しさにかまけているうちに時間が過ぎた。随分たってから原稿取りのついでに三人で会ってみると、渡されたプレゼントは百円ライターだった。僕は勝手に思っているのだが、もし彼女が逢いたいと思っていた時に逢っていたなら、ライターはきっとジッポのレアモノか何かだったに違いない。
▼いつまでも子供の僕にわからなかっただけで、小学校のクラスメイトも吹奏楽の先輩も、占いの館の魔女だって、女の子はいつでも立派な女性なんだ。
梅雨空に紫陽花色濃く咲きにけり
▼階下に住むオバサンが季節はずれの白菜を何度もくれるので日曜はまたスキヤキ。

そして本日はタコライスにタマゴサラダ。

世の中に女性は数多いるけれど、妻以上の女性を見たことがない。いかん、いつか絶対後ろから刺されるな。