ボーナスサンデーのクリームチーズ

7月に入って本当に雨の降り方が変わってきた。降ればドシャ降り、あがれば真夏の陽気。一日おきに両極端にフレる。どちらか一方が続いたら、九州の集中豪雨のような災害になる。なにもかもが暴力的に激しくなってゆく。それが夏というものだろう。
紫陽花の色洗うほどの雨が降る
▼日曜は妻がエアロビから帰るのを待って午後から近くのショッピングモールにおでかけ。こんもりと繁った鎮守の森を抜けると、そこには買物客を乗せた車が数珠つなぎでショッピングモールまで続いていた。雨のボーナスサンデーという認識がまるでなかった僕らのミスだ。おなかすいた。屋内駐車場にはとめられず、雨の中相合傘で店舗に入ると一目散にフードコートに向かう。
▼既に午後2時を回っていたにもかかわらず、各店とも長蛇の列である。この時間に充実したランチをとると夜が入らなくなるので、比較的空いていることもあってラーメン屋をチョイス。とんこつと味噌の二店が並んでいたが、迷わずとんこつの方に。券売機で食券を購入する。具だくさんのものとシンプルなラーメンをひとつずつと餃子を一人前。


▼テレビか雑誌か何かの人気投票でラーメンか餃子か何かが一位になったらしいが、そこまでの味ではなかった。値段もびっくりするほど高い。何よりダメなのは全ての商品がぬるいこと。パートとバイトで回るように作業を平準化するとそうなる。つまり注文されてから作るのではなく、作りおきのものを温めるサービスだ。外食産業のフランチャイズ店で味わえないのは「本物の味」や「家庭の味」なんかではない。単に「アツアツの」食べ物だ。
▼腹ごなしを済ませ、ユニクロでこの夏のポロシャツと短パンを買う。デパートがサマーバーゲンの時期を遅らせるという記事を読んだと思ったが、ららぽーとやイオンなどの小売大手はいずれも躊躇なくバーゲンセールに突入している。そしてこの混雑だ。商売は早いもん勝ち。巨大資本のコンベヤに乗せられて、僕らはファーストフードでぬるい飯を頬張りファーストリテイリングで手頃な服を買う。立ち止まって考える時間は与えられない。そんな生活が不満な人は地方では生きづらいだろう。
▼一縷の可能性にかけてショッピングモールのテナントに入っている大手書店チェーンの本棚をのぞくと、「美しき一日の終わり」を発見。どこの書店で検索しても品切れだったのに、オンラインシステムの網の目からこぼれた書棚の隙間に奇跡的に一冊残っていた。これだから書店めぐりはやめられない。僕はアマゾンなんかで本を買ったことはないし、予約も注文もしない。時に書棚の下の引き出しを勝手にあけたりしながら、本はあくまで本屋で探すのだ。
▼妻のスマホ依存はかなり重症である。行く先々で椅子に座って交流サイトをのぞき、その都度傘や買った品物を忘れてくる。本屋のあとは輸入食材店でクリームチーズを、洋菓子店でデザートを買ったが、そのうちクリームチーズは買い主の手元を離れ、今どこにいるのだろう。
月曜は冷やしうどん。

火曜はラザニア。

そして今日は生姜焼きに野菜サラダ。

これらの料理に使用されているチーズは、あの日買ったものではない。