水と土

梅雨の晴れ間から一転して雨模様である。気温は同じくらいなのに湿度が高く蒸し暑い。ここ三日ほどは終日雨マークだったが、それでも様子を見ながら生コンも打ったし埋戻しも強行した。九州で降り続いている「これまでに経験したことのないような大雨」ならそんなことは不可能だろう。
▼ところがどっこい僕じゃないけど先日の台風直撃の日にも誰かが生コン打ってたな。みんな仕事好きだなあ。そんなに無理してまで仕事したいかな。みんな工程が工程が言うけど、自分が引っ張った工程でしょ。アホクサ。雨が降ったら休みだなんて遠い昔の話だね。今は全てに仕事の都合が優先される。
▼小沢新党が旗揚げした。「国民の生活が第一」という新党の理念を反映する名前を考えに考えた挙句、最終的に決まった党名はそのまんまだった。略称は「第一」だろうか。第一党になりたいということだけが唯一最大の党是だからね。何の理念もなく政権交代だけが求心力だった民主党そっくりだ。さすがに自分たちこそ真の民主党だと標榜していただけのことはある。
▼結党大会で小沢さんは「…仲間のために、また国民のためにも…」と言った。言葉ってコワイな。無意識のうちに話している人の本音が端々に見え隠れしてしまう。僕も気をつけなきゃ。いみじくも党首本人の口からこぼれた通り、新党のホントの名前は「仲間第一国民第二」党だな。
▼ところがこれまでこの土建国家を引っ張ってきた、男の勝手な仕事の都合の旗色が悪いのである。小沢氏がどんなに「国民の生活が第一」と言おうが、毎晩午前様で休日ゴルフ、家庭を全く顧みない仕事人間が、いくら「オレは家族の生活を守るために頑張ってるんだ」と言おうが、もうそんな都合のいい理屈を真に受ける人は誰もいないだろう。
▼話を大雨に戻そう。ニュースで見る川の氾濫の映像はまるで津波のようだ。地球上では水の足りない地域の方が圧倒的に多いのに、この偏在ぶりはどうだ。そして日本は間違いなく水の国なのである。日本において土木とは、排水を含めた治水事業のことだ。灌漑ではない。
▼我々が長い年月をかけて飼いならし手なずけてきたはずの水が、今荒れ狂う奔流となって反旗を翻している。身を粉にして働く土木作業員よりヤクザがボトルに詰めたインチキ美容水の方が金になる。そんな現在の日本の閉塞感を描いた映画「サウダージ」も、水と土の相剋の物語として読むことができる。男にとっては確かにツラい時代かもしれない。けどこれまでは女性がそういう思いをしていたのかもしれない。
▼これからは水の時代だ。いや、これまでだってずっと我々の生活は土ではなく水に依存していた。そのことにみんな気づき始めている。

わが家の水仕事を仕切る妻の一昨日のウチゴハンはカレー。

昨日はネバネバソバ

そして今日はキッシュにマゼゴハン