倫敦五輪観戦記

毎日暑いが風は吹いている。直射日光さえ避ければそこまで酷い夏というわけでもないように思う。ただこの炎天下に仕事をするのは辛い。熱中症にもなるってもんだ。その昔熱中症がなかったのは、真夏の炎天下に仕事なんかしなかったからだ。午後も三時を過ぎれば陽射しが全然違う。それまでは昼寝をすればいいのだ。
現代社会の悪いところは、なにもかも杓子定規なところだ。管理社会と言ってもいい。「気分が悪けりゃ休んでもいいよ」と言っておきながら、それぞれが好き勝手に三時まで昼寝する自由は認めない。それじゃあ意味がないことが、これだけ死者が出てもわからない。つくづく救いようがないと思う。
▼日々熱戦が続くロンドン五輪も早くも半ばが過ぎた。競技的には体操、柔道、競泳の各種目から陸上競技へ移行し、最後に男子マラソンでしめる構成は毎回同じような気がする。判定が二転三転する柔道のジュリー制度、バドミントンの無気力試合など話題にも事欠かないが、昔とった杵柄で、やはり柔道が気になってしまう。
▼当初の目論みが外れ、思うような結果が出なかった日本のお家芸柔道。ただ、言われるほどの惨敗なのか。ひとつの競技で男子が銀2銅2、女子が金銀銅ひとつずつというのは立派な成績ではないだろうか?世界中に市民権を得た国際的なスポーツが、いつまでも創始国でメダルを独占し続ける方がどうかと思う。
▼例えば隣国韓国のテコンドーと比較してみる。いまだ五輪開催を記念して五輪種目に採用された開催国の国技の域を出ないテコンドーは、永久にマイナー競技のままだろう。かたやJUDOは、今や歴史あるボクシングやレスリングと同格で、なおかつ人気面では前二者を凌駕する五輪を代表する種目である。世界中の猛者が頂点を目指して鎬を削る人気スポーツで、相対的に日本の力が落ちるのは当然だろう。
▼あるいは中国人にとっての卓球のようになりたいのか。卓球王国中国では、ご承知の通り本国代表になれない選手が他国からの出場を目指す。マラソンカンボジア代表になろうとして問題になった猫ひろしの卓球版である。香港、シンガポールはもとより、カナダ、オーストリアポーランドと欧米各国代表も軒並み中国人だ。これで国別対抗の意味があるのかどうか…
東京五輪で正式採用されて以来半世紀。柔道が世界中に普及し、真の国際スポーツになってゆく過程で、力まかせの技やポイント制のJUDOが本来の柔道とは異質のものだという議論もあった。しかしそれらをひっくるめて、メダルの色はその時点の選手の実力を率直に反映したものと受け止めるべきだろう。その意味で今大会の男子は実力通りの結果だった。特に二回戦敗退の上川、穴井、中井は端的に言って弱かったと思う。
▼試みにこれまでの五輪優勝者を思いつくままに並べてみる。山下、斉藤、井上康生、吉田、古賀に三連覇の野村忠宏。女子では谷亮子、谷本歩、上野雅恵錚々たる顔ぶれである。みな稀代の柔道家だ。あの篠原監督でさえ誤審に泣いて銀だった。異端児小川も金には届かなかった。これでどうして今回の代表メンバーで金がとれると思うのだろう。
▼総じて頑張った日本男子だが、銀メダルの二人が同じロシア選手にそろって同じ技でやられたのはいただけない。平岡と中矢がすくい投げにいったところを巻き込まれたのは、ロシアチームが練っていた秘策でもなんでもないと思う。元々すくい投げのような力技はロシア人の得意技で日本人はやらなかった。ロシア人が常日頃練習中に頻繁に掛け合ううちに自然と身についた返しの技なのだ。
▼なぜ相手の土俵で勝負するのか。つけ刃で勝てるほど勝負の世界は甘くない。きっと苦し紛れに咄嗟に出た技なのだろうが、本番で通用するのは繰り返し鍛錬を積んだ型に嵌められた技だけである。かけ逃げとは別の意味で、金メダルがかかるような大舞台では、安易に技をかけるよりかけないガマンの方が重要になる。
▼今回の柔道を見て、改めて五輪で金をとるための条件を考えさせられた。普通に考えれば①一本とれる技②若さ③パワーだが、①は②と③があれば後からついてくるものなのかもしれない。それほどにロシアやグルジの選手の力強さには目を見張るものがあった。久々に膂力という言葉を思い出した。これも強さというもののひとつの形なのかもしれない。
▼ただ73kg級で優勝したロシア選手の態度には苦言を呈したい。彼は決勝の試合が終わった直後、中矢選手に馬乗りになる形で起き上がり両指を立てたのだ。準決勝でも終了後の礼の後韓国選手に近づき自分の胸を差して何か囁いていた。大方「オレの方が上だ」というようなことだろう。男子最高の金3個というロシアの成績は、柔道好きのプーチン大統領肝入りの強化の成果に違いない。しかしプーチンもロシア人も柔道の精神は全く理解していないと言わざるをえない。今のままでは北方領土は絶対に帰ってこないと断言できる。
▼五輪にかまけてブログの更新がおろそかになってしまった。僕のブログはともかく妻のウチゴハンは披露しとかないとね。

火曜はアスパラの肉巻にサラダ。

水曜はいなりに焼肉にスパサラ。

木曜はカレー。

金曜は東北みやげの牛タン。肉厚でめちゃくちゃウマイ。

土曜はジャージャーソーメン。

そして日曜は豚とオクラのパスタ。こちらも毎日オリンピックに引けをとらない充実した内容である。