秋の贈り物

相変わらず日中は暑いが、朝夕の空気と空の高さはもう秋のものだ。しかし全ての空気が入れ替わるには、ひとつふたつ台風をやり過ごさなければならないだろう。何事もノーペイン、ノーゲインだ。
▼東北大震災から一年半が過ぎた。今週初め、東北の実家が被災してお母さんと奥さんと娘さんを一度になくした社員が、退社の挨拶にきていた。彼は地震の翌日に地元に戻り、今日まで行方不明者の捜索やがれきの撤去作業を続けてきた。この間会社も、当初不足していた重機や燃料などの物的支援から、社員の直接派遣など人的支援も含めて彼をフォローしてきたが、ここにきて本人から、社員としての活動には一区切りつけたいという申し出があった。一年半という時間は、そういう時間だと思う。
▼その彼が、手土産に蒲鉾を置いて帰った。

僕はさつま揚げやちくわのようなネリモノはあまり好きな方じゃないが、これは本当においしかった。

これから女川で水揚げされたサンマが日本中の食卓を飾ることだろう。
▼今週はもうひとつ、秋からの素敵なプレゼントがあった。いつも買うところがお店をたたんだとかで、ここ二年途絶えていた葡萄の箱が、再び妻の実家から届けられた。

夕食の後、妻が洗って器に入れた大粒のピオーネをテーブルに出すと、それまでケンカしたりわいわい騒いでいたバカ三人が突然押し黙る。まさにゴールデンタイム、ゴールデンデリシャスだね。
▼おいしいものは食卓を、食卓を囲む家族を、つまりは家庭をパッと明るくしてくれる。例えば月曜はキャンプのあまりのジャンボししとうと牛肉のパスタ。

火曜は豚丼

水曜は焼きサバに混ぜご飯。

デザートはミニケーキの詰め合わせ。

ホントにパッと明るくなるよ。この瞬間は嫌なことも忘れるね。