うちのカインとアベル

10月に入って週間予報はようやく30度を下回るようになったものの、台風一過のピーカン以来予想外に暑い日が続いている。昨年の同時期同規模同コースの直撃台風の時は、担当事業所の被害対応に追われたが、今回そうでもなかったのは上陸が日曜だったからだろう。動いているラインが止まるのは問題ありだが、元々止まっていれば問題ない。そもそも休みだから被害を打ち上げる人もいない。やっぱり台風の一番の対策はそこに人がいないことだね。
▼1日は会社の健康診断だった。年に一度のことだから、これも秋の行事には違いないがいかにも印象が薄い。健康のことがそこまで気にならないというのは、幸せなことだろう。2日は担当事業所の駐車場で同じ町内のお祭り会員とバッタリ。「屋台の役割分担から名前が消えてたから完全にやめたんだなと思って…」と声をかけられた。そういえば秋まつりは今週末が本番だったな。彼は立ち話のまま組長が誰、代行が誰、相談役が誰と、新しい役員の話をし始める。
▼みんな役職の話好きだね。仕事を離れてもそんなことがそんなに気になるかな。そういえばその昔ブラックな某業界紙の記者をしていた頃、社長がこんなことを言っていた。「記事なんて紙面が埋まりゃなんだっていいんだ。フリーペーパーの記事読むなんてよっぽどヒマな野郎だ。全員が全員目を通すのは異動の欄だけだ」話が逸れた。いずれにしろ、お祭り男にとってはこの時期最大のイベント秋まつりにも、これといった印象は残っていない。
▼さて、10月は衣替えの季節である。夏の間開襟シャツ一枚だったうちの子たちも、片やネクタイにブレザー、片や詰襟姿に変身だ。人の目が気になって仕方ない下の子は、朝から何度も四階の窓から顔を出して、通りに中学生の姿を探すも見つからず、ついに痺れを切らして出て行った。と思ったら駆け上がってきて「やっぱり誰も着てない」と言いながら上着を脱ぎ捨て再び飛び出してゆく。その大騒動の後を、全校生徒の中でひとりだけ冬服でも気づかない長男が、妻の出したブレザーを疑いもせずに羽織り、おっとり刀で出て行く。
▼朝は一番早く出て行かねばならない僕は、これらのエピソードを直接見ることはできない。帰宅後夕食を食べながら、妻から聞くのである。だが、みなまできかなくともその様子は手にとるようにわかる。兄弟でここまで違うものかとおかしくなる。同じ親から生まれ、同じ環境で育っても、ほとんど真逆の人格が形成されるのだから、やはり人間は持って生まれたものが全てだと思わざるをえない。もうすぐ修学旅行の上の子は、ほっとけばシンガポールまで冬服で行きかねない。
▼前回は台風養生のため構内待機だったのに、今回は台風が来る前に退避勧告が出た日曜のウチゴハンはミートドリア。

同じことに真逆の対応をするのは気持ちがついていかない。

月曜はナシゴレンに根菜サラダ。カボチャとサツマイモが嫌いになりそう。そして火曜はタコ焼きだったのだが、僕がジュースをこぼして妻の怒りを買い写真はなし。