錬金術と美魔女

10月も半ばを過ぎて、朝晩だけでなく日中もめっきり秋らしくなってきた。まとまった雨の後の昨日は秋晴れの好天に恵まれた。直射日光だけは強烈なので、昼休みに車を日陰に回したら寒くて眠れなかったよ。これから一雨ごとに秋が深まっていくんだな。
▼一昨日は雨の中T電の施工部門の方と飲み会。T電にまつわるいろいろな話が聞けておもしろかった。建設業は大企業ほど事故に敏感だ。日頃は屁でもない赤チン災害も、もれなく社内メールに乗って流れてくる。だが全国の支店、営業所から刻々と入ってくるやれ脚立から落ちたとか社員がオカマを掘ったとかいうニュースの中に、あの福島第一に関する情報はいっさいないという。フクシマで、赤チン災害以上のことが起きていないはずがない。我々が知ることができるのは、どうでもいい情報だけだ。本当に大事な情報は完全に意図的に隠されている。
▼僕のカウンターパートナーである彼は、最近マイホームを建てたらしい。最初は「銀行から大借金してやっとですよ」と謙遜していたが、そのうちこんなことを話し出した。ちょうどローンを組む算段をしている時に大震災が起きて、福島原発があんなことになり、T電は国有化されて、自分のとこはともかくT電にはかなり辞める人も出た。その時彼は、銀行の担当者に「まさか辞めませんよね」と念を押されたという。会社が国有化されるということは、一般的には信用が地に落ちることだが、どうも銀行にとってはそうではないらしい。
▼年下とはいえお客様である。「こんなご時世だから派手なことはできませんが」と前置きしつつ、それなりに気を遣っていいお店をチョイスしたつもりだ。なにより僕にとって、ひと月に一度あるかないかの飲みごとはハレの日である。ところが話を聞いていると、彼らは接待し、接待され、何もなければ仲間内で、いまだに毎晩のように出ているようなのだ。駅前の一等地のビルに事務所を構える大企業に所属する人間の生態なんて、いつの時代も同じかもしれない。常に軍資金が豊富で、目の前にネオンが光っていれば、誰だってそうなるだろう。
▼一度に遣う金額も、女の子のいるお店にラストまでいて十数万と、我々庶民とはケタが違う。接待でもそんな額サイフに入れたことないよ。これが銀座なんかだと数十万になるんだろうけど、さすがに地方にはそこまでの店がない。「一度に落ちないから三回くらいにわけるけど、その精算が終わらないうちに次の飲み会があるから領収者がたまっていく」なんてセリフ聴くなんてバブルの時以来だ。「すごいですね。まるでバブルの頃みたいだ」と僕が言うと、彼は「会社がバブルみたいなもんだから」と自嘲気味に言った。
▼いくら大きいとはいえ施工部門は工事会社には違いない。いっかいの現場監督など末端の末端である。その彼がこうなのだから親会社は推して知るべし。全くあるところにはあるものである。いつぞや尊敬する人気ブロガー女史がブログで、東電が国有化されて年収1000万の人が700万になっても全然可哀想な気がしないけど、シャープが身売りして年収500万で頑張ってきた人が350万になるのはものすごい可哀想と書いてたけどその通りだな。いくら復興予算だろうが福祉目的税だろうがこのままでは財政破綻だろうが、もういっさいの増税の話には反対するしかないね。
▼昔を懐かしむあまり安酒に走って失敗した先日のウチのみに懲りて、二軒目は女の子の分いい酒に投資することにした。奮発してマッカランのボトルを入れてみたが、果たして喜んでもらえただろうか。相変わらず妖艶なママは、少し痩せてますます美しくなっていた。この人いったいいくつなんだろう。そういえばこの前店を訪れた時も雨が降っていたな。
雨宿りママの瞳が濡れている
金曜はチキン南蛮丼にエビとカニ、カボチャとポテトの親戚サラダに野菜スープ。
土曜は炊き込みご飯に焼サバ、トマトとチキンのクリームスープ。

スープがおいしい季節になった。