日本のためにジャンケンポン

寒いようで日なたは暖かい。まだ11月である。見渡せば防寒着を着ている人と着ていない人が半々くらい。防寒着を着ているのは、比較的太っている人の方だ。ただでさえ大きな身体が着ぶくれしてアザラシのように見える。そのアザラシの群れが、初冬の弱い光の中で緩慢に動いている。
海豹やひねもすのたりのたりかな
▼世間話によると、一般に太っている人は脂肪という衣を一枚余計にまとっているようなもので、痩せている人ほど寒さが骨身にしみるというのは真実らしいが、太っている人ほど概して暑がりの寒がりだ。身体だけでなく精神まで緩みきっているのだろう。なぜわかるかって?はい、僕もそうだからです。
▼当ブログも再開して二年が過ぎた。二年で約六万PV。一年目が二万PV、二年目で四万。三年目の爆発的な増加に期待したい。甘いか。いつのまにか年をとってしまった僕がこれまでの人生で学んだ唯一のことは世の中甘くないということだ。過度に期待することなく淡々と続けていこう。実際ブログは仕事のいい気分転換になっている。
▼二年間の記録が残っていると、いろいろ発見がある。五年あればもっとおもしろいだろう。返す返すもOCNブログ人の三年分の過去ログが残念だ。僕も相当しつこいね。前にも書いたが、ブログ人時代は凶悪事件についてのエントリーが多かった。直近の愛知信金立てこもり、逗子ストーカー殺人、尼崎の鬼女監禁殺人などは、以前なら確実にコメントしていた事例だ。
▼数年に渡る記録のいいところは、そういった全体的な傾向の変化から自分自身の興味の変遷を窺い知ることができることのほかに、一年のある時期に似たようなコメントが集中していることから、食べ物に旬があるように世の中の出来事にも季節要因のようなものがあるような気がするのである。
▼例えば一年前の今頃のブログを見ると、橋下新党についてコメントしている。橋下氏が大阪維新の会を旗揚げし、大阪府知事、市長のW選に打って出たからである。さらにその一年前には、みんなの党について言及している。落ち目の自民党から離脱し、鳩の失政に乗じて党勢を拡大している時期だ。春が恋の季節なら、晩秋から初冬にかけてのこの時期は、さしずめ政治の季節と言えるのではないだろうか。
▼その維新とみんなの合流が頓挫している。結局みんなの党は、なんのために第三極が結集しなければならないかということより、合流後の力関係や自分たちの勢力や影響力の維持の方が大事なんだな。会社の合併でも合併比率とかタスキ掛け人事とか旧〇〇というのがいつまでもついて回るのと同じだ。それじゃあ合併の意味がないよね。だいたい志半ばで倒れた父の衣鉢を継いだ二世議員渡辺喜美がじゃんけんで立候補を諦めきれるはずがない。私的な動機によって始められたことにはもっともらしい理屈がつきものだ。

土曜は鮭にニラ饅頭になめこ漬物に豚汁。

今日はハンバーグに厚揚げのあんかけ。
▼最近妻の中で五穀米がブームのようだが、ついに先日下の子から「白いごはんが食べたい」とクレームが出た。子供は正直だ。確かに白米の方がおいしい。炊き立ての白いごはんにチーズをのせてバターと肉がたっぷり入った欧風カレーをかける方がうまいに決まってる。けど健康には五穀米に根菜カレーの方がいいのかもしれない。
▼学生のころ私淑していた先輩の同棲していた彼女がカレーの達人で、彼女が作るカレーのあまりのうまさに感動したことがある。北海動出身のせいか、大きなジャガイモとニンジンが皮つきのまま入っていた。そのカレーは玄米にかけられていた。僕は玄米というものをそのとき初めて食べたのでこんなものかなと思ったが、玄米を噛むのに苦労してせっかくのカレーの味がボケてしまったような気もする。
▼その時彼女が言った。「この人は健康にいいからってやめようとしないけど、わたしはバイトから疲れて帰って玄米噛む気にはなれないわ…」子供心にも(子供じゃないけど)不穏な空気を察知しておそるおそる先輩の顔色を窺うと、意外にもケロッとして歯牙にもかけていない風だったが、ほどなく彼女が出ていったのは言うまでもない。
▼ガードマンがまたみかんを箱で持ってきてくれた。今年の年明け早々脳梗塞になってからこちら目に見えて衰えが目立つようになった。後遺症か頬と歯のひきつりが気になる。小さい身体がさらに縮んでまるで服が歩いているようだ。みかんといえば僕も子供の頃みかんを食べ過ぎてよく掌が黄色くなったものだが、件の先輩は健康志向から100%オレンジジュースの飲み過ぎで掌どころか白目まで黄色くなって黄疸騒ぎになったらしい。これも彼女から聞いた話だ。政治も同棲も、まずエゴを捨て相手を思いやる気持ちから始めないとね。