春爛漫

一雨降って気温はうなぎのぼりの昨日は真夏日である。僕も制服の下はTシャツ一枚だった。平年より10度以上高いのだから季節はずれと言ってもいいのかもしれないが、そんな気は全然しない。元々天候が不順な季節だし、春には花冷えより暑いくらいの陽気がよく似合う。
▼下の子が早くも通信簿を持って帰ってきた。二学期より上がっているからか、大喜びでシッポを振っている。やはり今まであまり見せたがらなかったのは成績がよくなかったからだろう。体育が5、五教科がだいたい3なのは変わらないが、美術と音楽と数学が4になっていた。以前はよく五教科についていた2もなくなっている。これでお兄ちゃんの学校クラスなら十分の内申点だそうだ。
▼五教科だけの学力テストでは半分も点がとれないが、この子はこれでいいと思う。担任の総評の欄には毎回「いつも進んでみんなに声をかけ、クラスを引っ張ってくれている」と書かれている。美術の先生は授業でピカソゴッホの絵を模写させているようだが、下の子は「(小学校の)図工より(中学の)美術の方がおもしろい」と大喜びである。「先生が先生でよかった」との感想に「先生も○○クンが生徒でよかった」と通信ノートに返されていた。
▼上の子も中3のクラス替えの時、当時の担任が名簿に長男の名前を見つけてガッツポーズしたそうである。1、2年次の様子を見ていて、彼が自然なリーダーシップを発揮してクラスをまとめてくれると考えたのだろう。先生の予想通り、長男のクラスは歌声コンクールや体育大会をはじめ、その年の学校行事の一位を独占した。彼はその後市内で最低ランクの高校に進学したが、今年は何の間違いか空前の人気で高倍率に沸いているらしい。こんなご時世でどこでもいいから公立にと考える親が多いのだろうが、親バカとしては彼が人を引いていると考えたくもなる。
▼今朝カーラジオを聴いていると、どこかの高校で生徒の卒業後十年を追跡調査をするという新しい試みが紹介されていた。対象者にはずっとよりそって、その時々の夢や希望、現状を逐一聞き取っていくと話した後のパーソナリティーの感想が身につまされた。「確かに僕自身ずっと不思議に思っていたんです。高校の時すごい輝いていたのに今はパッとしない奴がいる一方で、高校の時は全然目立たなかったのに今めちゃくちゃ活躍してる奴がいるのはなんでだろうって。その辺の事情を知るのにこの試みは役に立つんじゃないかな」
▼昔は成績のいい子が学級委員をやり、クラスのまとめ役になると相場は決まっていた。僕もそのクチだったが今は鳴かず飛ばず。人の評価ばかり気にして人生が自分のためにあることがわからなかったんだな。うちの子たちは今のところいい意味で期待を裏切っている。充実した人生に学校のランクも成績もなんの関係もない。このまま明るく健やかに、自分の人生を歩んでいってほしい。
▼夕方から再び雨が降りはじめた。去年の春の家族会も雨が降っていたな。今年は弟のところに子供が生まれたばかりなので、家族会をやるとすれば今だろう。本来なら長男である僕が音頭をとる役割のはずだが、それができない。こういうことは仕事と同じで、待てば諸事情が好転したりスキルアップしてできるようになるという類のものではない。その人の器量の問題である。できる人は最初からできるし、できない人は一生できない。僕は一見できがよさそうだが実は不器用だ。たいていのことはうまくやることができない。悪い意味で期待を裏切ってしまったな。
▼降りしきる雨の中を同業者の通夜に向かう。つい先だって立ち話したばかりのような気がするのに。今はもう雨がやみ、早くも風が強くなり始めた。天気はめまぐるしく移り変わる。じき桜が咲き、すぐに散るだろう。人も時も待ってはくれない。

昨日は瓦そば風。今日は菜の花とベーコンのパスタにトルティーヤだったが、妻は虫の居所が悪かったのか、どんなに頼み込んでも写真を撮ってくれなかった。