紺碧の空

6月になった。週半ばの雨以来ずいぶん涼しい日が続いている。今日なんか少し寒いくらいだ。1日が土曜日でスーパークールビズ始めがズレ込んでよかったね。予報では来週は傘マークがない。早くも梅雨の中休みだろうか。
▼最近全校行事の中体連壮行会の応援リーダーに選ばれた下の子が、突然大声で練習し始めるのでビックリする。大声を出しては小声で「ああ緊張する。大丈夫やろか」とつぶやいている。学年で一番の優等生と下の子が指名され、最終的に下の子で決まったらしい。快活そうに見えて、この子が実はビビリであることを先生方はわかっているのだろうか。ああ、こっちが緊張する。
▼この時期仕事が薄いので定時で帰る日が多く、夕飯を食べると9時前には寝てしまう。下の子の生活リズムと同じである。下の子はそのまま朝まで眠っているが、僕はもう年なので6時間も眠れば目が覚めてしまう。そんな時はイヤホンでキース・ジャレットでも聴きながら過去ログ三昧だ。
▼朝早く起きると、今が一年のうち最も日が長い時期だということがよくわかる。4時には既に明るい。下の子の唇の日焼けではないが、この時期の過去ログには子供のソフトの審判で日焼けしてひどい目にあったというような記述が多い。梅雨空に直射日光が遮られなければ、もっと大変なことになるだろう。お天道様はよくしたもんだ。
▼ヒマすぎて油断したのか先月納期の工事が遅れ、この土日はバタバタである。クリーニングを終えて15時に帰宅するとテレビで六大学野球早慶戦を中継している。陽射しは強いが、6月にはなお肌寒く感じる日が幾日かある。普通は梅雨冷えの雨の日だが、稀に五月晴れの名残りのような日がある。今日もそんな日だ。そして23年前の春の早慶戦も、そんな奇跡的によく晴れた涼やかな一日だった。
▼早稲田先勝で迎えた優勝のかかる23年前の早慶第二戦は、応援部の主将だった友人の名前を使わないと球場に入れないほどの盛況ぶりだった。あいにく投手戦の末の負け試合という最も盛り上がりに欠ける展開だったが、それでも七回には彼女と肩を組んで校歌を歌ったはずだ。
▼彼女は白いブラウスに黒の短パン、素足に白いスニーカーという出で立ちだった。短パンからスラリと伸びる健康的な脚がまぶしかった。チャンスに立ったり座ったりするたびに、静脈の浮いた真っ白な彼女の腿にどうしても目がいってしまう。それに気づいた彼女は、冗談めかして「食べたら美味しいかもよ」と言って笑った。
▼僕はフワフワして地に足がついていなかった。応援しているチームが自分の大学とは思えなかった。グラウンドで躍動する選手たちが自分と同じ学生とは信じられなかった。彼女が自分の彼女のような気がしなかった。何もかもがリアリティに欠けていた。それはその時に限らず、友人がまだ応援部にいる時に神宮に通った頃からそんな感じだったから、彼女のせいじゃない。
▼四位争いの今年の神宮はスタンドに空席が目立ったが、試合はワンサイドでも最終回の慶應の応援はエンドレスで校歌が続く熱のこもったものだった。伝統の一戦に相応しい雰囲気だ。甲子園優勝投手の日大三高吉永や大阪桐蔭の河原などスター選手の顔も見える。やっぱり今でも自分の母校だという気がしない。それは僕が中退したからという理由ばかりではないだろう。
▼夕方試合が終わって、神宮から新宿まで歩いて、地下のビアホールで飲んで再び地上に出てもまだ明るかった。一年で一番日が長い頃のことだ。それでいて嘘のように過ごしやすかった。本当に奇跡のような一日だった。なんだか目頭が熱くなってきた。少しモヒートを飲みすぎたかな。たまったウチゴハンを更新しよう。
水曜は煮込みハンバーグ。

木曜はほうれん草のクリームパスタにチキンサラダ。

金曜はトマトとジャガイモのカンタングラタンに焼肉。

土曜は天ざるで写真なし。そして今日はナスのアラビアータに照焼チキントルティーヤ。