再び、そして父になる

梅雨空ではあるが、確かにカラ梅雨である。梅雨入り以降一週間以上ろくに雨が降らないし、向こう一週間もなんとか週末まで持ちそうだ。気象庁は梅雨入り宣言を撤回することを検討しているというが、雨が降らないからといって、そこまで気に病むことはないと思う。現に梅雨前線が存在し、それが南方に下がっているだけのことだ。
▼ここんとこ部活を引退した長男と、テスト期間中の次男と、仕事が暇な僕が早く帰るので、狭い家がさらに狭い。うっとうしい。梅雨なのにいまだサラッとした空気なのが救いだ。上の子は昨日は文化祭の打ち上げとかで不在だった。今日もだけど。僕も高校の文化祭の打ち上げで、そんなに親しくもないクラスメイトのいきつけの焼鳥屋についていったもんだ。結局毛色が合わなかったのか、彼らとのつきあいは高校在学中だけだったな。
▼人づきあいのいい長男も、友だちと夜遅くまで出歩いているが、僕と違って人に流されるタイプではないので、つるんでワルサをするということはない。そもそも背伸びをしたいという感覚がないので、青少年がこの時期いきがって覚える酒やタバコの類は絶対に口にしないと断言できる。なにしろみんなとファミレスで待ち合わせている時でも、外食が嫌いなのでうちで食べてから出かけるような人間である。
▼めんどくさがりの長男は、勉強が嫌いで全くやろうとしないが、成績だけはいい。特に国語と数学がずば抜けているので芯から頭がいいのだろう。とにかく飄々としている。ただ通信簿を見ると、彼らの国語は現代文だけで古典がない。高3なのに「微分積分」とか「代数幾何」といった細目がなく、ただ「数学」とあるだけだ。そういえば妻も「高校の途中から数学がなくなった」というようなことを言っていたが、似たようなことかもしれない。
微分積分なんて、進学校でも授業をきいているのは国立大志望者のみだ。僕も全く記憶にない。センター試験を受ける生徒がいない学校で教える意味はないだろう。微積分を勉強して国立大に進学した人でも、社会に出て実際に使う人は稀だろう。数学とは高度な頭の体操のようなものだ。だからこそ上の子なら教えれば苦もなくできてしまうかもしれないが。
▼さて、そんな長男の進路だが、バレー部の先生のコネがきく在京二校、近在二校に絞り込んだようだ。夏休みのオープンスクールを見て、この四校のいずれかに決めるという。推薦入学が決まれば、また部活に復帰するらしい。大学でもバレーを続け、将来は高校のバレー部の顧問になるというビジョンがはっきりしているのだから、受験しなくてもそういうことが可能なら、何も無理に受験勉強する必要はないだろう。
▼そんな僕もついこのあいだまで、「先生になるのなら大学受験を避けても教員試験はあるんだからいずれはどこかで勉強しなくちゃならないぞ」なんて小理屈こねてた口だ。だが外野が想像で物を言うより、当の本人がその辺の事情は一番わかっているだろう。実際僕の柔道部の顧問の先生だって、高校でも大学でも勉強なんてひとつもしないで柔道ばかりしてたに違いない。それでも結果的に他のどんな先生より立派な先生だった。あれで先生になれるんだから上の子が先生になれないはずがない。
▼親の仕事は口を出さずに金を出すこと。最近ようやくそれがわかってきた。具体的には学費を工面することだ。今のところ私大の学費だけで手取年収の三分の一にあたるが、下の子も含めて向こう8年間、生活レベルを現在の三分の二に切り詰めるのは無理がある。しかしこれが四分の一から五分の一なら可能かもしれない。つまりは昇給するように懸命に働くしかない。是枝的葛藤とは無縁のまま、なんとなく人の親になった僕だが、真価が試されるのはこれからだ。

木曜はチキンカツ。

金曜は妻が少しずつ溜めてきた鳥皮の貯金が満期になった!願わくばその能力を家計のやりくりに発揮してほしい。

そして今日はネバネバソバ。