ミタカストーク

昨夜から今朝にかけてようやく涼しくなったが、日中は相変わらず強烈な陽射しである。予報では今日を境に秋の空気に入れ替わるはずだったが、また台風が南の空気を運んできているのかもしれない。
▼先日山奥のカフェに行った帰り、近くの神社に立ち寄った。天然記念物の巨大なクスノキがあったが、御神木はまた別にある。どうやら御神木は杉の木と決まっているようだ。夫婦杉もあった。でも夫婦クスノキというのは聞いたことがない。何か決まりがあるんだろう。何を願掛けしたか忘れたが、とにかくお参りして境内を出た。
▼目の前の田んぼはちょうど刈り入れの真っ最中だ。周囲には乾いた草の臭いが満ちている。刈り取られた稲はその場で竹竿に干されている。代々神社にお米を納めている田んぼなのだろうか。刈り入れにこれほど人手をかけているのを見るのは久しぶりだ。
▼うちの前の田んぼもいつの間にか稲刈りが終わっている。わずか一反ばかりの空間に不釣り合いな巨大な稲刈機が鎮座している。陽が落ちるとなんだか不気味な光景だ。僕的には人の手をかけた日向の匂いがするお米が食べたいね。
刈入れの田んぼに浮かぶ宇宙船
▼さて、逗子ストーカー事件に続き、また悲惨なストーカー殺人が起きた。被害者がタレント活動をしている美少女だったこともあって派手に報道されているが、話題性がないものも含めると、ストーカー被害にあっている女性はかなりの数にのぼるのではないか。
▼京都在住の青年が東京まで夜行バスでやってきて二階から侵入し部屋のクローゼットに潜んで本人の帰宅を待ち凶行に及ぶ。千葉から長崎まで追いかけ回し、交際相手の母親と祖母二人を手にかけた事件を思い出す。物凄い執念だ。何かが乗り移らないとこんな芸当はできない。逮捕された容疑者はさっぱりした顔をしていたが、きっと憑物が落ちたんだろう。
▼これだけの執念の持ち主が相手なのだから、警察だってよほどの覚悟をもって事にあたらないと太刀打ちできない。警告のためケータイに三度かけたが出なかったとか、留守電に折り返すように入れたとか、出るはずもなければかけてくるはずもないのはバカでもわかる。「あの女、サツにチクりやがった」と逆上させるだけだろう。
▼「ストーカー規制法に則って…」言うだけ虚しいというものだ。逗子ストーカーの被害者の現住所読み上げにも見られた配慮と切迫感のなさは、事件を未然に防ぐという役割を警察に期待する方が間違っているという証左である。要するに他人事なのだ。型通り仕事をこなしサラリーを得る。もらったサラリーはなるべく使わずに経費で落とせるものは全て落とす。裏金までためる。彼らにとっての大事は、そうやってマイホームのローンを払いきることであり、女子高生の命を守ることではない。
▼それにしてもとんでもない男にぶちあたったものである。二人は2年ほど前にfacebookを通じて知り合い、一時期交際していた。女子高生の方は従来のタレント活動に加え女優志望の夢を現実のものにしつつあり、留学して外国語の習得にも熱心だったという。かたや加害者の男性は無職。21歳というから、知り合った2年前は高校を出て、いったい何をしていたのだろう。いずれにしろ、何もない男が自分に不釣り合いな美女に過剰な依頼心を抱いた末の惨劇であることにちがいはない。
▼チャールストーマスという名前が外国志向の彼女の琴線に触れたとしたら、facebookも罪作りなメディアだ。つきあってみなければ本当のところはわからないという意味では、faceboookも出会い系サイトもリスクは同じである。そもそもネット上の自己発信に余念がない男なんてろくなもんじゃない。そんなヒマがあったら働けよ。あ、オレか。実際忙しければブログどころの話ではないのである。
▼彼は彼女にも警察にも自分のことを大学生と騙っている。上京する際友人に「アメリカに行く」と言ったらしい。ハーフといってもおそらく英語はからっきしだったろう。「フラれて随分落ち込んでいたので、立場が違いすぎるからあきらめなさい。遠くから応援するのが彼女のためよと声をかけたのですが…」という男の母親のコメントが悲しい。
▼東京三鷹の閑静な住宅街に住み、幼い頃から芸能界に身を起き、私立の女子高に通い、英会話を習い、実際に海外留学もする。それは自己を偽って彼女とつきあっていたチャールストンの境遇とは、普通の人が想像する以上にかけ離れたものだったにちがいない。彼はつきあっていた頃に彼女の家を訪れていた可能性が高いが、その時既に殺意は芽生えていたのかもしれない。そしてそれは逗子のストーカーにも長崎のストーカーにも共通しているような気がする。
▼昔は身分の違う相手との恋をあきらめて身を引いたり、あきらめきれずに刃傷沙汰に及ぶのは女性の方と相場は決まっていたが、今や時代はすっかり変わったようだ。思えば若かりし頃の僕の失恋もそのハシリだったんだね。

昨日は揚げサラダにナポリタン。今日の弁当はオムライスだったが、よくよく考えればパスタがライスに変わっただけである。
▼今夜は長男は合宿、次男は新人戦の優勝祝賀会で二人とも不在だったので、たまには簡単にすませようと、昨日のお願いランキングのレトルト部門で上位を独占した無印良品の「グリーンカレー」と「バターチキン」にした。レトルトとは信じられない味である。「きっと同じ行動パターンで同じ会話を交わしている人が何人もいるよ」と夫婦で笑った。