会合の心得

今週はずっと暖かかった。朝はさすがに冷えるが、昼間は厚着しているので暑いくらいだ。小春日和については、以前「冬なのにちょっとした春のような日」と書いたが、小春とは旧暦十月のことで、晩秋から初冬にかけての穏やかな日のことをいう。今週はまさにそんな日が続いたが、もう小春日和とはいえない。冬うららというらしい。
▼昨日は先月20日以来、半月ぶりの休みを強行した。ここんとこ、よくて月二回の平日休み。いつものペースだ。もしかするとこれが今年最後の休みになるかもしれない。強行突破とはこういう立場の人がすることで、やろうと思えばいつでもできる多数派がすることではない。それは強権だ。このまま正月休みを挟んで春の声をきくまで休めないのが例年のパターンである。
▼午前中パートの妻が帰ってきて午後から隣市の商業施設までドライブ。妻の服と妻の服と妻の服を買って、オシャレなカフェでランチ。


スープカレーというものを初めて食べた。なかなかいける。ただ子供たちはこれをカレーとは思わないだろう。下の子なら「なんこれ」と言うに違いない。
▼水曜は恒例の業界親睦団体の忘年会。うちに帰って着替えて駅まで歩く途中、超ミニの集団に出くわした。この前も街中でもない住宅地に不似合なド派手ミニを見かけてびっくりしたが、宴会コンパニオンだと気がついた。この近くに事務所でもあるのだろう。主婦のバイトも多いはずだ。忘年会シーズンはコンパニオンシーズンでもある。ミニスカのケバい制服は冬の風物詩だ。
寒風にさらす大根冷たかろ
▼今年はめずらしく約半数が二次会に残った。まあ例年も単にみんないっしょじゃないだけで三々五々どこかに流れているはずだ。ところがお酒が苦手なのかこういう席が苦手なのか、必ず一次会で帰る御仁がいる。車で来ているから最初から飲むつもりがないのは明らかだ。それで営業が務まるのかなと思ったこともあるが、結論から言うと全く差し支えない。営業職の必要条件は、客先の疑問に対して専門業者として適切な回答ができれば事足りる。一番大事なことは、いつまでにいくらでできるか、納期と値段を正確かつ迅速にレスポンスできる能力だ。
▼これが逆だとむしろ軽蔑される。酒席に出たがる印象はマイナスだ。二次会に残ってゴチになるのはもってのほか。金がないならついていかない。当たり前のことだが、営業云々の前にそれが守れないと大人とはいえない。自分の分は絶対、相手の分も払えるものは払う。心理的な貸借関係は仕事に影響するからだ。逆に仕事とは、相手にいかに借りを作らず貸しを作るかを考える行為といっても過言ではない。
▼二次会は熟女クラブ。期せずして大方の意見が一致した。気安く話せる上に値段も手ごろ。超人気店だが奇跡的に貸切状態だった。我々の年齢は40代後半から60過ぎ。熟女たちは30から50。なるほどつりあいはとれている。一番若いホステスが、まだ日本にもこんな娘がいたのかというような純な顔立ちをしてると思ったらベトナム人だった。
▼三次会はいつもの人といつものお店に。彼のお気に入りの娘がいて、ごいっしょした時は必ずそこに寄って閉店までおつきあいするのだが、とにかく高い。それでいて女の子のレベルは低い。容姿はひどく話題は下ネタ、全員タバコを吸い歌も下手。おそらく枕営業しているはずだ。そうでないとこんな店が続いている説明がつかない。彼女たちに未来はあるか。ない。じゃあどうするか。おそらくは考えないようにしているのだろう。
▼さて、年に一度の帰省が刻々と近づいてきた。上の子がバレー部の初打ち(柔道の初稽古のようなもの)で2日に一人先に戻るというのでカチンときて「現役でもOBでもないオマエが出るのはおかしいだろ。オマエもオマエなら先生も先生だ。ったく程度の低い学校は先生も常識がない」と言ったら向こうもカチンときたらしく喧嘩になった。「なんだ、先生まで馬鹿にして。勉強できることがそんなにエライの?他人を馬鹿にしたり否定するお父さんの方がおかしい」と言われはっとした。この子の言う通りだ。
▼なんでも初めての試みらしく、三流校の弱小バレー部だからこそ自分たちの手で伝統を作っていこうと、先生と二人三脚でOBたちに声をかけて準備を進めているらしい。パイオニアである。敷かれたレールの上を走るのは簡単なことだ。伝統校に入っただけで自分がエライと勘違いしてる僕なんかよりずっと立派かもしれない。ブレずに大学を卒業して母校に戻り、若者を導くよき教師になると信じたい。
▼人間のアタマはかなり固い。いったん信じ込んだ人生観はそうそう覆るものではない。それは原発全廃、普天間移設、特定秘密保護法案等を巡って対立する人たちと同じことだ。彼らは互いに相手がどうしてそんなバカげたことを考えているのか理解できず、永遠に交わることはないだろう。わが子とはいえ別の人格である。自分の意に沿わないからといって他人の人生に口出しはできない。他人の人生に干渉できるのは、唯一応援という形に限られる。親とはツラいものだ。

会合の前の晩の火曜は焼肉にひじきごはんに和風シチュー。ここ数日は写真なし。