マグノリアの花たち

ポカポカ陽気の最高の天気だ。なんともいえない芳香に誘われて、木蓮の花にクマンバチが頭を突っ込んでいる。桜も週末には見ごろを迎えるだろう。今日は仮設ハウス等の引き上げだけで一日ゆっくりである。気持ちの上でも春を愛でる余裕がある。自然はのどかなものなのに、人間の方がバタバタしてるだけなんだな。
▼日曜の晩は久しぶり開放感に酔いしれた。といってもお酒を飲んだわけじゃないよ。妻の手料理をがっついた後、ゲームをしている下の子をいじりながらブログを更新しただけである。ただ翌日の心配事がないというだけで、こうも気持ちが軽くなるなんて。現代がいかにストレスフルな社会かよくわかるというもんだ。
▼ジュースを飲んだりお菓子を食べたり座ったり横になったりしていると、ふとした拍子に太ももが思い切りつってしまった。片方だけかと思いきや両方。太ももなんてつったことがないから、どうやって筋を伸ばしていいかわからない。こんなに痛くて辛い思いしたのも久しぶりだ。
▼そういえば初めて膝が痛んだのも去年の今ごろだった。年度末工事の負担は想像以上に身体をむしばんでいるのかもしれない。なんせ年が明けて一日しか休んでないのだ。ここ二日は十時前に就寝しているが、極端に疲れると、ぐっすり眠った時に凝った身体がふやけて元に戻っていく感覚がある。
▼桜の少し前のこの時期に咲く大きな花がある。自由人さんもブログで触れていたが、日本では白いハクモクレンがポピュラーだ。ヤマユリのような、もう少し小ぶりで色のついたものもある。前回のエントリでコブシの花と書いたのもそのつもりだったのだが、正確には違っているかもしれない。これらの花を総称してモクレンといい、外国ではマグノリアというらしい。
▼校門前の並木道などでよく見かけるので、僕などはハクモクレンを見ると卒業式を、サクラを見ると入学式を思い出す。もっとも桜の開花は年々早まる傾向にあるので、今では入学前に散ってしまうかもしれない。昨日までその存在すら気づかないのにあっとい間に開いて散ってしまう。塾の講師をしていた頃は特に、自宅近くの公園のハクモクレンの並木道を歩きながら一抹のさみしさを感じたものだ。
▼上の子が明日の早朝、千葉に向けて出発する。30年前、自分が18の時上京したのがついこのあいだのことのようだ。ちょっとした手違いで当初入るはずだった寮に入れず、とにかく大学の近くに行こうと毛布ひとつ抱えて山手線に乗ったっけ。気が張っていたせいかその時は何も感じなかったけど、最愛の彼女にフラれて6年間暮らした馬場を離れる際、無意識に寮があった駅の不動産屋をあたっていた。人生をリセットするには、回り道でも最初からたどり直すしかないのだ。
▼上の子は月初の合宿から戻って以来、半分は外泊、あとの半分も夜中に寝に帰るだけの生活だ。いや、部活を引退して以来ずっとそうだった。彼はもううちには居場所がない。でも巣立ちの時を迎えているのだから、むしろその方が自然だろう。背伸びしてうちを出たガった割に、一人暮らしの寂しさに耐えきれず同郷の友人知人先輩とつるんでばかりいた僕よりマシであることを願う。
ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ザ・マスター」は観ていないが、トム・クルーズ主演の「マグノリア」はあまり面白いとは思わなかった。この人は新興宗教のインチキ教祖みたいなところからなかなか離れようとしないけど、ライフワークなのかな。同じ病めるアメリカを切り取った作品としては、赤いバラをモチーフにした「アメリカン・ビューティ」の方がずっと面白い。マグノリアというよりモクレンは、アメリカというより日本の春によく似合う。

月曜はヨガのインストが産休なのに妻がヨガ仲間と遊びに行ってヨガカレー。

そして今日は絶品カラアゲ。