職業としての政治

春の天気は続かない。昨日は春爛漫の陽気だったのに、今はもう雨が降っている。明日は春の嵐になりそうだ。咲いたばかりの桜は大丈夫だろうか。
▼今日の工事は目地のシールだけなので、朝手続きをして、終わりにまた手続きに行くだけ。その間うちに帰って王様のブランチをダラダラ見る。超重要な見積の締切が迫っているが全くやる気が起きない。完全なサボりだが、しばらくはリハビリだ。
みんなの党渡辺喜美代表が、化粧品会社の会長から8億円の資金提供を受けていたことが発覚した。渡辺氏は「個人的な借入金で選挙資金ではないから問題ない」と主張している。また猪瀬前都知事が、医療法人徳洲会から五千万借りていた問題で、一転してこれまでの主張を翻し、選挙目的で自ら要請したことを認めた。この件についての僕の感想は次のようなものだ。
▼政治家という自営業の収支について、給料をもらうだけ、つまり個人的なもの以外に支出のない給与所得者は想像がつかないのではないか。自分で商売をしていれば、普通は収入と支出は半々である。材料その他を仕入れ、それを売って収入を得る。大きく商売をしていようが小さくしていようが、実入りはその差額だけだ。動いた金額に比して差額は微々たるものなので、簡単に逆転、つまり赤字になってしまう。
▼だから自営の緊張感は雇われの想像を絶する。いつ仕事がなくなるかもしれないし、気を抜けば赤字になる。事業の運転資金の借り入れもはんばない。「簡単にお金が借りられていいね」と思うかもしれないが、これは借金だ。九時五時週休二日で給料が安いと愚痴をこぼし、投資なし100%お金をもらうだけ、プラスアルファ隙あらば個人的な支出を経費で落とそうとするお気楽なサラリーマンとは根本的に収入の構造が違うのだ。
▼政治家の必要経費ってなんだろう。議員になってからの政治活動に必要なランニングコストももちろんだが、まずは議員になる前の選挙に一番金がかかる。「8億ももらって」と言うが、候補者60人で割れば一人一千万ちょい。選挙事務所を構え、街宣車を用意し、ポスターやビラを刷ればすぐに半分は消える。人件費もかかる。なにより候補者自身が霞を食って生きてるわけじゃない。当選するまでは無収入のただの人だ。
▼議員個人に支払われる議員報酬は当然のことながら、政党に支給される政党助成金も所属議員の頭割で、全て当選した後にしか入ってこない。お金の出入りにタイムラグがあるからこそ資金需要が発生する。これらの必要経費の支出と収入のタイムラグに対応する資金繰りのやり方にはいろいろあるだろう。この資金繰りこそ、まさにその他の職業と同じく政治家にとっても最も重要な仕事であり、政治活動そのものなのである。我々はともすればそのことを忘れがちだ。
▼普通、人は返すあてのないお金を借りないし、貸す方も帰ってくるあてのないお金を貸しはしない。政党助成金を担保に選挙資金を融通してもらう。みんなの党のように多くの当選者を見込めるアゲアゲの政党にとって、このやり方はパー券販売などと同様、政治資金集めの主たる方法として定着しているのではないか。
▼逆に元社民党辻元清美氏のように、落ち目の政党に所属する議員には、秘書給与をちょろまかすようなやり方しか残されていない。もちろんこの調達方法は辻元個人が考案したわけではなく、政党に指南されたものである。激戦区で無類の強さを誇る候補者には、自己資金だけではない資金的な裏付があるものだ。手弁当だけで当選できるほど選挙は甘くない。
▼国会議員でない猪瀬氏のような独立系は、東電病院売却についての情報提供のように、より露骨な便宜供与の形になる。ただしいずれの場合でも、事がいったん公になれば是非はない。一度は失職を覚悟しなければならない。それがルールというものだ。
▼なぜ今、このタイミングなのか。それはみんなの党が分裂して担保の評価額が下がり、渡辺氏と化粧品会社会長の関係が悪化したからである。ナンバー2の江田氏が袂を分かち結いの党を結党(結党という意味だろうか?)した際、「政党助成金狙いだ」と批判した渡辺氏は、江田氏に「おまえもな」と返されても仕方あるまい。

昨日はポークソテーに菜の花のおひたし。

そして妻の最新ネイル。