スピリチュアリスムにも三分の理

桜も散り、もうすっかり初夏の陽気である。タケノコにあさり、山菜と、萌え出る春の野山が僕を呼んでいる。でもいざそういうところに行くと意外に寒いんだよね。
▼午前中会社で形だけパソコンをいじり、午後一に事務所を出て二、三件回り、そのまま家路について17時ちょうどに玄関のドアをあける生活が続いている。忙しくてもそうでなくても時間はあっという間に過ぎる。すぐに休みのない日々がやってくるのだから、今だけでもゆっくりすればいいのに、根が貧乏性のせいか、なんだか落ち着かない。
▼忙しくて夜中になろうが、定時であがろうが、うちに帰ればまずは風呂だ。特に僕は足が臭いので、足を洗わないことには妻にうちの中を歩かせてもらえない。ひとっ風呂浴びて夕刊を読みながら各局ローカルをザッピングしていると、グルメ特集が多いこともあって、おなかが空いてガマンできなくなる。食べ終わると19時。それからテレビ半分ブログ半分で22時頃には眠くなる。
▼途中、部活を終えた下の子が20時頃帰ってきて風呂に入り夕飯を食べて21時には寝てしまう。上の子は、外から帰ってきて一番に風呂に入ろうとはしなかった。ごはんが先だが出されてもすぐには食べようとはしない。スマホをいじりながらいつまでもソファに座っている。がっついたり慌てたりするところがまるでなかった。僕や下の子とは人種が違うと思う。
▼ともあれ、こんな生活でも仕事はゼロではない。中には定時生活になんの疑問も抱かず、これを読んでも「全然普通じゃん」と思う方もいるかもしれない。僕も半分くらい「普通はこんなもんだろ」という気持ちもあったが、そんな意識がぶっ飛んでしまうようなブログを発見してしまった。
▼自分のブログを読むのもいい加減飽きてネットサーフィンしていると、先日の芸術系人気ブロガーに続いて、もうひとつ女性のブログが目にとまった。おそらくは東京に出向中の地方公務員の方と思われるが、出向が終わって地元に戻ったのか、3月以来ひと月以上更新がない。
▼彼女の三年間の東京生活を一気に読み切ったが、その多忙ぶりに腰を抜かしてしまった。その働きぶりはこうだ。ブログの更新はだいたい月10回程度で土日、祝日に限られる。なぜなら平日は、毎日終電もしくは朝帰りでブログの更新どころじゃないからだ。休みの日は一日中寝ててもおかしくないところを、彼女はなんとか起き出して美術館巡りを欠かさない。
▼過去に公務員が三食昼寝つき、9時5時週休二日で高給もってく税金ドロボーみたいなことを書いたような気もするので、この場を借りて謝罪します。無知というのは恐ろしい。まあ彼女が公務員と決まったわけではないが。それに公務員もピンキリだけどね。なんにしろ、働かない自由より働く自由を持っている人の方が少ない。
▼木曜は大手ゼネコンの方を接待。共通の下請の社長を交え、気のおけない会合となった。会社で使ういつもの割烹居酒屋からいつものクラブに移動するも閉まっている。どうりで電話に出ないはずだ。そんなに引出しも多くないので、「女の子はいませんよ」と断りつつ妖艶なママがひとりでやってるバーに連れていく。かえって新鮮だったのかママの魅力のせいか、どうやら気に入ってくれたようだ。
▼だいぶお酒が回りみんなの口が軽くなる。すると下請の社長がこんなことを言い出した。「ある人を通じて死んだ前妻とメールのやりとりをしている」その気が全くない僕が「そりゃ、そのある人がメールしてるんでしょ」と言っても、「いや、霊界から交信してくるんだ」と言ってきかない。それから亡き妻がいかにできた女だったか、20以上違う今の妻に嫉妬しているのが可愛いとか、仕事のこともいろいろアドバイスしてくれるとか、還暦過ぎたおっさんの世迷い言がとまらない。
▼「ちょっとなんとかしてくださいよ」とゼネコンの人に助けを求めるが、「そういうこともあるかなと思って」と笑うばかりだ。その時ふと思った。もしも自分が妻を失くしていたらどうだったろうと。メールじゃなくても仏壇を通じて霊界の妻と毎日交信するのはそんなにおかしなことじゃない。悲しみにうちひしがれた人の心は、時に常人の理解を超える。僕はいろんなことが本当にはまだ何もわかっちゃいない。

水曜はブリ照りにスパニッシュオムレツ。

そして今日はポテトの肉巻きに野菜サラダ。ここしばらく子供の下宿の大家さんにいただいた房総ワカメの味噌汁が続く。おいしい。もらったのはほんの一握りだったのにワカメっていくらでも膨らむんだね。