ポストザックジャパンへの提言

朝晩は涼しいが、陽が出るとすぐに暑くなる。恰好はもうTシャツ短パンで十分だ。しかし最高気温はまだ30度以下である。これ以上気温が上がったからといって、これ以上脱ぐわけにはいかない。裸で歩いていいなら別だけど。
▼何気なく朝刊をひらくと「北日本も平年並み暑さ」「冷夏見直す」の文字。先の長期予報で、通例エルニーニョ現象が発生した年は日本は冷夏になるが、今年は限定的で北日本に限られ、東日本西日本とも暑くなる予報にガッカリとブログに書いたばかりなのに。北日本の気温は実際には関係ないが、もう何があっても日本全国暑くなる一方なのだと思うと精神的ダメージが大きい。
▼さて、全世界熱狂の祭典W杯もそろそろ16強が出そろう。日本は11日間予選突破の望を繋いだが、終わってみれば連敗して早々に敗退が決まるのと大差ない敗北感が漂う。いろいろ言われているけれど、逆転負け、スコアレスドロー、大敗という内容の類似からも前々回ドイツ大会の既視感を指摘する人は多い。僕もそう思う。
▼なにより似ているのは、チームの中心にいた絶対的エース中田と本田の存在。彼らは日本チームのカリスマ的存在だったが、カリスマ的プレーヤーではなかった。カリスマが神がかり的活躍ができなければ、額面通りの働きとはいえない。それは試合によってはフリーキックを決めたりキラーパスを通す程度のプレーでは全然足りない。全試合で全得点に絡むような次元の違う活躍でないと。
▼今大会の日本の敗因は、日本にメッシやロナウドドログバやロドリゲスやスアレスロッベンのようなファンタジスタがいなかったことにつきる。ビッグクラブでプレーするビッグマウスはいても、本当のビッグネームはいなかった。身内に本物のファンタジスタがいないから、ホンモノが出てきた時に対応できない。本田も香川も長友も、これらのキラ星たちどころか、イニエスタモドリッチやミューラーやルーニーベンゼマクラスにも遠く及ばない。
▼この先協会がいくら選手の強化に励んでも、日本人のファンタジスタを輩出することはできないだろう。練習や強化では、異次元の選手を産むことはできない。咬みつきスアレスのような野獣は、試合の結果次第で殺人事件が起こるような国にしか出てこない。さらに歴史と文化の積み重ね、DNAというものもある。日本がそこまでたどりつくには、大袈裟でなく千年かかる。そしてそうなればなったで、それはもう日本とは別の国だろう。
▼日本は劣勢のスタンドに火炎瓶や発煙筒が飛び交う国ではない。負け試合にサポーターが座席を掃除して帰る国である。そういう国にはそういう国なりのチーム作りがあるのではないか。日本の弱点が個の力であるのはわかっているが、ないものねだりをしても仕方ない。髪だけ金色に染めた張子の虎を作って何になる。チームワークを阻害するカリスマは邪魔なだけだ。
▼日本の目指す理想は、チームワークで16強入りした前回大会の仲良し岡ちゃんジャパンだろう。日本人の指揮官の方が意思の疎通も図りやすい。正式なキャプテン長谷部誠がまとめる誠実イレブンだ。だいたいなんでキャプテンでもない人間がリーダーづらしてんだ?スター性のある選手を祭り上げてカリスマに仕立て、自他共に勘違いさせたマスコミの責任も大きい。
▼海外でがんばっている選手たちには悪いが、やる前には「優勝する」と大言壮語し、負けたら人目も憚らず泣く姿は、とても成熟した大人のものではない。どうしても子供のようにしか見えないのである。そしてピッチ以外で子供のように無邪気に振る舞うことが許されるほどには、彼らのプレーは我々を無条件に魅了するほどファンタスティックなものではなかった。
▼いや〜、自分のことじゃないと筆がススムススム。思えば僕も一億総評論家、現代日本人の典型だ。嫌韓、反中、原発集団的自衛権、そしてW杯…立場の違いはあれ、自分に直接関係ない議論に熱中するのは私生活が充実してない証拠だ。まずは我が事に専念しなければ。

一日に二つのジムをかけもちし、昨日はネイル今日は髪の毛のカラーと毎日大忙しの妻。自分のことに専念している。見習わなければ。