善悪の彼岸

台風前に一気に気温が上がった。今日は湿度も高く、とても暑かった。持っていった大ぶりの水筒を10時の休憩までに飲み干し、昼休みに600ml増量のペットボトルのお茶を一本飲み干し、午後から事業所の冷水器の水を水筒に二回満水にしたものを飲み干した。だいたい2リットルだな。こんな日はうちに帰ることだけが楽しみだ。もちろん今年初のクーラーのきいた部屋にである。
▼日曜のNスぺは、相次ぐストーカー凶悪犯罪を受け、加害者の心の闇に迫る試み。キーパーソンは、逗子のストーカー事件を取り上げたクロ現にも登場していた、ストーカー被害相談窓口NPO代表の小早川さん。逗子の被害者を救えなかった後悔から、活動の軸足を加害者のカウンセリングに広げている。
▼一口にストーカー事件と言っても、直近の40代塗装工のギャルメッタ刺し事件や、大阪50男の無理心中気味のホステス刺殺事件などは、逗子ストーカーとはちょっと毛色が違うような気がする。その約半数がフラれ型に分類されるというストーカーの典型は、もちろん逗子の方だ。
▼番組のインタビューに登場した三人の現役ストーカーたちは、典型的なストーカーである。一人目は28才男性、二人目は20代女性、三人目は48才の男性。いずれも既に逮捕歴があるか、あるいは警察から警告を受けている筋金入りのストーカーである。
▼驚くべきは48才の男性が、カウンセリングを受けている小早川さんに対して一日100通からのメールを送り、挙句に返事が少ないことに逆上していることだ。「頼むから返事をくれ」「寄り添うと言ったじゃないか。このウソつきのクソババア!」口を極めて罵る様は、完全にストーカーのそれである。
▼男女や年齢の別なく、彼らに共通するのは「自分は絶対に悪くない」「きちんと説明すればわかる」「自分を選ばないのなら不幸になってほしい。むしろ死んでもらった方がいい」という身勝手な考え方である。他人への依存性が強すぎる彼らの態度は、人を信用しすぎた結果ではなく、逆に「生まれてこの方誰も信用したことがない」(小早川代表)ことの表れだ。
▼このコミュニケーション不全を、幼少期のトラウマ、特に母親との関係性に求めるのは自然なことだ。相手に自分の全存在を受容することを求めるのは、乳幼児が母親に対してのみ許される関係性だからだ。件の48才の男性もカウンセリングを続けるうち、母親から虐待を受けていたこと、自分が可愛がっていた犬が餓死させられた記憶を吐露する。その体験が、誰とつきあっても「いずれは捨てられる」という猜疑心を生む原因となっている。
▼番組最後のVは海外に飛ぶ。オーストラリアのストーカー対策専門の公的機関の紹介である。カウンセリングリーダーは言う。「ストーカー対策は他の片手間にできるような仕事ではありません」確かに一日100通からのメールを送りつけ、そのいちいちに返事を求めるようなストーカーは、一人相手するのも大変なことだ。小早川さんの孤軍奮闘ぶりが際立つ。
▼28才男性は、最初被害女性から相談を受けて話をきくうちに、彼女を癒してやれるのは自分だけだと思うようになるが、女性に「そんなつもりじゃなかった」と言われて怒りを覚える。20代の女性は「自分は何も悪いことはしていない。悪いのは(悪いことをしていない)自分を捨てた彼の方だ」という考えから一歩も動こうとしない。
▼彼らがこのように頑なな姿勢を崩さないのは、彼らに「自分の方からは何も(悪いことは)していない」という被害者意識があるからだ。彼らの人間関係は常に受身なので、どうしても「近づいてきたのはそっちだろ」という思いが消えない。しかしアプローチした方が、そのことをもって必ず相手の望むような関係性、まして恋愛関係にならねばならない義務などないことは誰にでもわかることだ。
▼恋愛関係以前に、全ての人と人との間をつなぐものは信頼関係以外にない。その最も大事なものが欠けているために人間関係をうまく結べない人は、権利や義務、善悪など、本来人間関係にそぐわない概念を持ち出して自らを正当化しようとする。

昨日はネバネバぶっかけそばにアボガドサラダにもやしと水菜のサラダ。

今日はバターしょうゆ鶏に餃子にナスとキューリサラダ。そしてデザートは毎日コールドストーン風。暑かった今日はとりわけおいしく感じた。

24年前、僕は彼女にフラれることで自分の対人アプローチがストーカー的であることを学んだ。そして結婚生活を通して、無条件に人を信頼する素晴らしさを妻に学んでいる。